思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『スケルトンライダー』

☆☆

始まってすぐ、色調補正がないことだけで、テレビ映画であり、すなわちC級である可能性が極めて高いことが危惧されたが、掃き溜めに鶴、ということもあるので、いちおう最後まで観てもみた。
本作のポイントは「怪物」ボーン・イーター。これが原題でもある。見た目は(『島本式』で読んだだけで、テレビのほうは未見なのだが)『仮面ライダーV3』のラスボスみたいなゴリラ型の骸骨。よく見ると、インディアンのように、腰簑までつけている( ´Д`)
CGは、ネットの感想ではプレステ2レベルと言われているが、10年前のテレビ映画なら、まあ頑張っているほうかも( ´Д`)
怪物に攻撃されると一瞬で灰になるのも、本作ならではの特殊能力というより、米国の規制的に、血を見せるとダメだし、肉体欠損を作り込むのも面倒だから、一瞬で灰にしてしまえ、という手抜きだろう。
と、こんなテキトーに作られているっぽいのに、登場人物は意外に多い。主人公の保安官とバディに署長、保安官の娘とボーイフレンド、主人公の父親であるインディアンの酋長と対立する男女のインディアン。その他にも、検死医ほかチョイ役も多数。悪役たるゼネコン社長と現場監督、怪物に殺されるだけの役など、頭数はけっこう多い。
その割には、社長が瞬殺されるのはまだいいとしても(あれだけ嫌味たっぷりに演出したんだから、もうちょっと恐怖を味わわせても良いと思うが)、酋長が何の役にも立たなかったのはいかがなものか。いわくありげな肉体派の部族も、酋長についていけないどころか何故か保安官に歯向かって返り討ち(公務執行妨害で、アメリカなら殺しても大した問題にはならないだろう)にあっておしまい。
……と問題点を挙げてみると、本作は2、3倍の尺があって、うまい脚本家が人間関係や設定をうまく畳めれば、悪くない映画になったのではないか、という気もする。出来上がったこの内容では、ネットにあるように、Z級と言われてもやむ無しのできではあるのだが。
Z級と言えば、怪物であるボーンイーターが煙状態の馬に乗る時に、安物の西部劇みたいな劇伴が流れる能天気さは擁護しがたい( ´Д`)
何より、怪物にデザイン的にも、設定的にも、演出的にも魅力がないのは致命的かも。

2007年アメリ