思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ザ・ワン(再)


☆☆☆★

YouTube番組「ザ・ノイジーズ」で今年のアカデミー賞候補(その後ほんとに受賞した)である『エブエブ』(余談だが、原題そのままとはいえ、最悪な邦題のひとつやね(´Д`))の前にこれがあっただろ! ということで紹介されていたのを機に何度目かの再見。
ストーリーはシンプル。ただし、パラレルワールドというものに知識があれば、だけど。顔がそっくりだから、悪者が良い者になりすます、というのも定番の展開。しかも、2、3回あるフェイク展開は、どれも数分以内にネタばらししてくれるので、もやもやすることがないのも良い。
顔がそっくりといっても、アフロのリーとかも、写真だけだがちゃんと出てくるので、たまたま髪型もそっくりのやつらが生き残っただけ、という言い訳も抜け目なくされている。
ステイサムのボスは悪リーに殺されるが、パラレルワールドのボスに言えなかったことを言う、というのも良いし、言われたほうも何かを感じてしんみりするのではなく、普通に不審者扱いする、というドライさ、リアルさも素晴らしい。
なんだかんだ言っても、本作のメインは、ジェット・リージェット・リーのカンフーバトル以外にあり得ない。
ラストの怒りのとどめモードになると、区別がつきづらくなるが、そこまでは、「善」の円運動と、「悪」の直線運動、ときっちり動き(拳法の流派)で演じわけている。スローモーションを多用しているのがもったいないが、逆に、スローにしても一部の乱れもない、というのが玄人向けには、凄いのかもしれないなぁ……。