思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

雨に叫べば


☆☆

特に冒頭にテロップとかなかった気がするけど、作品解説文によれば、80年代の映画制作現場の物語らしい。言われて見れば、ファッションとかはそれっぽいけど、なんか低予算のせいなのか、コメディ映画だからか、なんかお笑いコントっぽいから、再現度云々よりも、リアリティというか空気感はないんだよなぁ。
おまけに、女性監督という、当時は全然いなかったんじゃないの? という、むしろ現代を舞台にしてこそ成立しそうな設定なので、どうにも物語に入り込みづらい。
「映画制作映画」というのは、期せずして最近続けていくつも観ているが、その中では最も面白くない。冒頭から、監督が拗ねて車に引きこもっている、ということからして文字通り観客の感情移入を拒否しているし。クライマックスに、監督に協力的じゃなかったスタッフが、プロデューサーのクビ通告を無視してまでクビになった監督が現場に戻って来て、撮影を乗っ取るのに加担する理由も一切ない。監督が心情を整理するのは、視聴者に対してであって、作中の(若手女性カメラマン以外は)スタッフには何も表明していないのだ。
基本はラストに全員で歌い踊るというミュージカルになるとか、コメディで、このノーテンキなノリは最近観たな、と思ったら、『タンポポ』だ。クライマックスで、窓の外で降らしていた雨を室内に向けたり、なんてハチャメチャさも。
主人公の松本まりねは、声が良いけど、ちょっとアニメ声寄り過ぎるかな……と思ったは、実際に声優もやっているようだ。