思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『追竜』☆☆★

変わった題名だが、邦題は原題と同じ。アンディ・ラウドニー・イェンが警官と街のごろつきとして宿敵としてのバトルを繰り広げる・・・のかと予想していたら、全然違った。
アンディ・ラウは、警察のボスと結婚して、汚職をしつつのし上がる。
ドニーは麻薬売買をシノギとするマフィア。チンピラ時代に捕まった時、イギリス警官に乱暴されていたところをアンディに助けられたことをきっかけに、持ちつ持たれつの関係を続ける。時にはお互いが命をかけて助けたことを借りにしたりしたり。
共通の敵として、支配者たるイギリス人がいる、という中国映画ならではの図式はあるものの、片方が善ではない、というわかりづらい図式は、ノワールと分類されるものだろう。全体の流れとしては『イップ・マン外伝 マスターZ』っぽい感じ。まあ、香港の歴史もの映画では定番なのだが。
アクション映画としては、ドニーはごろつき役なので、カンフー的なアクションは一切なく、そういう意味ではドニーがやる必然性はあまりない。クライマックスのヘン顔(狂気的な復讐心に燃える、という演技なのだが)は一見の価値くらいはあるかも(^_^;)
序盤に、ドニーが香港の街を闊歩するシーンでラップ調の曲を劇伴としてかけたり、ハリウッド(タランティーノ)的な音楽演出と、終盤の川井憲次的なしんみりした感じとが、ちょっとアンバランスでもある。
ラストバトルシークエンスで、ヒロインの一人が、突然若返ったりするように感じる、演出として微妙なところとか。CGがもう一つマッチしていないとか、敢えて観なくてもいいような感じの作品。最初と最後に字幕が出るが、史実を元にしているのか、ちょっと怪しい感じもするし、日本人が知る必要があるようなネタでもないし。

2017年 香港(中国)