思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

イップマン外伝 マスターZ

☆☆☆★

『イップマン3』で好敵手チェン・ティンチを演じたマックス・チャン。彼のその後を描いた外伝。外伝といえば『アイアンモンキー』だが、どちらもユエン・ウーピン監督作品か。
イップマンとの対決依頼、詠春拳を封印して、小さな食料品店のオヤジをしているティンチ。配達の帰りに出会ったケンカの仲裁(もちろん実力行使)に入ったことから、ヤクザ社会のゴタゴタに巻き込まれ、店や義理の家族を失うことになる。『イップマン』シリーズとだいたい同じ、というよりもまあ、香港アクション映画では飽きるほど見た、言い換えれば気を衒わず、オーソドックスな構成の映画。俳優なりの活躍を楽しむジャンルだから、これで何ら問題ないのだ。まあ、ベタすぎて後半、アクション以外は早送りで観たけど(^^;)
内容は宗主国イギリス人との差別、ワーク・ライフ・バランス問題(^^;)、ヤクザの、襲撃など、驚くほど『イップマン』本家と同じ。ドニー=イップマンの『イップマン1.5』とかでも全く違和感ないくらいだ。
カンフー映画としとは、2、3見せ場があり(純粋にアクションシーンとしてはもっと多い)、そのどれも趣向を変えているあたりはさすが。
トニー・ジャーが出ているが、友情出演的で、マックスとは手合わせ的に戦うものの、トニーの役回りがよくわからない(^^;)どこかの国の潜入捜査官らしいが……。もちろん、見応えのあるムエタイバトルなのだが、これといった突き抜けた面白さはなかった。
逆に、前半のクライマックスとして、商店街の看板上のバトルがモロにタイ映画『チョコレート・ファイター』をオマージュしていたのが、世界で受けたものは何でもパクる香港映画の本領発揮。
何箇所か、アクションシーンで、コマ単位で不自然な部分があったのが気になったのだが……。私だけだろうか? よく分からないが、動きの途中で2つのテイクを無理矢理つないだかのような……。もしそうなら、ある意味、映画的な新技術かもしれない。百パーセントうまく行ってないけど、挑戦としては映画史に残るかも。
中盤の見せ場が、ミシェル・ヨー姉さんとの室内タッグマッチ。『グリーン・ディスティニー』を思わせる刀の構えが美しい。完全な悪役ではなく、マフィンの大物らしい度量も見せるなど、けてっきりこれがラストバトルだと思ったくらい。宣言通り、7歩必殺で拳銃を蹴り落とすのも痺れる。
映画序盤で、ワイングラスを転がし合う面白いシーンがある。これに似たシーン、どこかで観た気がするけど、思い出せない(^^;)
クライマックスには、イギリス人(俳優がそうかは知らんけど。)との対決。マイク・タイソンみたいなヘビー級。これもまあ、清朝末期の香港アクションではお馴染みの構図である。その意味ではどうってことないのだが、ここでようやく封印していた詠春拳を使うことと、そこで何故か、川井憲次作曲のイップ・マンのテーマ曲(詠春拳のテーマってこと??)が流れるのは燃えるポイント。