思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『予告犯』☆☆☆★

映画オリジナルかと思ったら、原作ものか。エンドロールも歌ものではなくインストだし、結構頑張ってる感はあった。
結果的には、サイコものかと思いきや、実はいい話っぽくて、観終わった後の満足感はそれなりにある。
観ていると警察、主にヒロインたる戸田恵梨香がバカすぎることが気になる。
あとは、後から某所のレビューで書いてあるので気づいたが、犯行動機に対して、連続殺人をする理由がない、ということや、グルでやる理由が弱い、ということは構成上の問題かも。ただし、後者は映画として人情話の演出のうまさで、観ている間にはそれほど気にならない。でも、後から喋っているとバレるかも。

以下ネタバレ

新聞で、某お笑い芸人のカエル君うし君みたいにマスクをかぶっているので、複数犯や模倣犯の存在は容易に想像できる。
それは折り込み済みとして、なぜグループで犯行を行うのか、という理由として日本の貧困問題を扱っているところが、観客に「良い映画を観た」感じ(錯覚?)を起こさせることに成功している。
ただ、ちょっと世界情勢を知っている人には、どう考えてもフィリピンの方が貧困や治安の悪さは上やろ?! と本作にはサヨク(というか日本のマスゴミ)のお花畑的安直さを感じざるを得ないけど。
それよりも、犯人たちの動機を中盤あたりの段階で明かすので、『コロンボ』や『古畑任三郎』的な倒叙もののような効果が(期せずして、じゃないかなぁ)生まれている。
どうせなら、一般人や、警察視点に限定して、犯人の過去エピソードはエンドロール後に10分くらいつける、という思い切った構成にしてても良かったんじゃないかなぁ。


2015年 日本