思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『芸能人はなぜ干されるのか』
☆☆☆☆

洋書(の翻訳)を読んでいるかのように、幅広く取材された力作。
要するに芸能界がいかにブラック企業ばかりなのかをジャーナリスティックに書いたもの。
一見、三流アングラ本のようだが、本書を読めば、そもそも大手マスゴミは、芸能界にまつわるタブーに触れられない事情が分かる。
本来は、「出させてもらう」はずの芸能事務所が、スターの人気と独占、寡占と暴力によって、「出してほしいんだろ?」に逆転しているのだ。暴力というのは、それほどジャニーズやナベプロほど巨大な事務所でもないのに、異常な影響力を持つバーニングの後ろ盾らしい。
何のことはない、現代でも(性)奴隷を使っている芸能界・マスゴミが、自らの後ろめたさを隠す為に(このへんは中共と同じ)日本の自虐史観を正せない、という側面もあるのかも。
よく言っても、芸能事務所は、タレントを(発掘、開発、育てることが必要なので)商品としてしか見ていない、ということだ。
本書が大部なのは、芸能界のキーパーソンだけでなく、そもそも戦前の舞台や映画の俳優の立場にまで触れているため。
縦軸だけでなく、アメリカ、韓国、そして少しましな声優業界にまで比較されている。
本書を読めば現在の芸能界の裏側が分かると同時に、虚妄のテレビを見る気がなくなるだろう。それが良いのか悪いのかは各自の判断だが、少なくとも知人が芸能界に入りたい、なんてことを聞いたならば、絶対に教えておくべき基礎知識と言える。


『会社の電気はいちいち消すな』

マクドナルド(略)は、かつて130円だったハンバーガーを65円で売り出したことがあった。(略)65円バーガーが赤字だったとしても、お客がバーガーとともに他の商品を買ってくれる機会が三倍に拡大するということである。」

「会社ぐるみでコスト削減を進めるときに、社員の善意に期待してはいけない。(略)そもそも意気込みだけでは長続きしないからだ。社員が無意識のうちに節約してしまう、あるいは、節約せざるをえない仕組みを作ることが大切だ。(略)努力を求める節約は、必ず失敗するものだからだ。」

「人間は、愉しいこと、自分の利益になることしか進んでやろうとしない
人間は、ルールやシステムがないと、高い倫理観を持ち続けられない
人間は、強制的にやらされることしか達成できない」