思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

プライベート・ウォー

☆☆☆★

プライベート・ライアン』の続編……とかではなく、アメリカの女性戦場ジャーナリストの話。
まあ、想像していたところからあまりはみ出ない内容だった。事実を元にしている、ということを除けば、他の現代戦争もののフィクションでも、カメラ(つまり観客が観ている映像)がその役割を担っているから。
見どころとなると、主人公の女性ジャーナリストのパーソナリティだけ、となる。いつもたばこを吸っているニコチン依存症なのは、非日常に対して、ドラッグでもやってないと耐えられないからか。それでも、少女の死体を目の前にすると、PTSDに悩まされたりしている。少なくとも、作中の描写からは、そこまで酷い死体でも、状況でもなかったように思うのは、私がホラー映画の見過ぎなのか……?(歴史上の惨殺や、現代の自称イスラム国の賛助も読んでいるので、)
シリアのカダフィ大佐のそっくりさんとインタビューしたり、その後で死体と記念写真をする市民、など、ホントに? というシーンもあった。事実だとしても、独裁者の最期としては、街中にさらし首されなかっただけましかもしれない。
女優さんのせいか、眼帯をつけた見た目は、完全に海賊か、フィクションによくあるナチスの女幹部だ(^^;) エンドロール前に出てくる、本人の動画を見ると、わりとマイルドな要望なのだが。
まあ、言ったら、全編フツーな(クオリティは高いが、際立った特徴のない)映像なのだが、全く観る甲斐がなかったわけではない。クライマックスの舞台となったホムスの街中に数台のトラックで入るシーンは良かった。夜に、瓦礫と化した道の両側に、ポツリポツリとある該当しかない暗い夜道に、突如砲弾が降り注ぐ。真っ暗な夜空を背景に、薄茶色の廃墟の壁、そこにオレンジの爆炎が上がるのは、映像的には実に美しい色彩設計である。