思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

日本残酷写真史

下川耿史
☆☆☆★
作品社

写真が普及して以来、日本を中心に、いわゆる残酷として、現在のマスコミには載らない死体写真を集めたもの。写真は多目だが、写真集ではなく、あくまでも文章の図版という形である。
文中で、本書は歴史を語るものではなく、判断は避けられているが、右側の私からすると、完全に左側の史観をベースにしている。尼港事件に触れているのに、日本人が悪いように書かれているのには唖然とさせられる。支那大陸での大陸人の残虐っぷりもほぼスルー。ほとんどが日本人のやったことにされているのも東京裁判史観まんまである。あとは関東大震災朝鮮人虐殺とか。
海外事情として、ナチスユダヤ人虐殺に触れていたり、ポルポトの粛清に触れているのはいいとしても、単純な数ではそれを上回るソ連や中国の自国内虐殺には一切触れない。
まあ、そのへんを抜きにして、ヒトはどれだけ残酷になれるか、を知るには良い勉強になった……というより、現在の日本人が見ずに済ませている『死』というものの現在を勉強すべき。海外では死体とかもちゃんとテレビで流してるんでしょ?
もっとも真摯に向き合うべきだと思ったのが、近代の事件・事故の死体写真の数々だ。阿部定事件とか、下山事件とかもちゃんと写っている。イスラム自爆テロの犯人のその後とかも。