思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クワイエット・プレイス』☆☆☆
各所の評判が良かったので期待していたのだが、期待外れ。
これ、C級か、下手すりゃZ級によくある設定の映画やん。
設定は省略するが、まず、SFとしては穴がありすぎ。『クローバーフィールド』と同じく(?)モンスター映画であることは伏せられているわけだが、「音を出したら即死」というのは少々問題の宣伝コピーである。JARO案件か。
本作の映画内の設定だけで言うなら「人間が音を出したら、襲われる」と言うあたりか。
異常に聴覚が発達し、視覚と聴覚がなさそうな怪物、と言う設定とその造形は面白いが、ほぼ出オチで、それ以上の細かい設定が全く詰められていない。どのレベルの音量ならいいのか?
音だけに頼っているのではないことは、その動きを見れば分かるのだが、それ以外の感覚はどうなっており、どうやって外部環境を把握しているのか。
裸足で歩くのは映画的補強演出としていいのだが、砂の上をキュッキュッと歩く音はちゃんと入れられているが、それはいいのか。
まだすぐ近くに大きな音を出すものがあれば声を出してもいい、と言うくらいは分かるのだが、だからと言って生まれたての赤ちゃんがほとんど泣かない、と言うのも、ちょっとでも新生児、乳幼児に接したことがある人ならば、あり得ないことが分かるだろう。そんな赤ちゃんがいるとしたら、確実に何らかの障害があるであろう。
要するにこれ、「音に反応するスタンド」なのだ。それをなまじモンスターにするから様々な設定上の疑問や矛盾点が生じていている。
設定の思いつきはよかったのだが、このオチはホラーの常道として、終盤に明かすべきものであり、それをアヴァンタイトルの段階で明かしてしまったことが最大のしくじり要因。『地球最後の男』『28日後』のような終末観を出したかったのだろうが、それを本作の設定に嵌め込んだのがいけない。もしかしたら、低予算であることが先にあり、少ない登場人物で撮れる設定を考えているうちに終末映画に至り、そこにゾンビや核戦争やただの宇宙人ではなく、音を出してはいけない怪物、と言う設定を思いついて当てはめたもんだから、こんな結果になったのでは??
ひたすら『クローバーフィールド』のように何者か分からないが、音を出した人間から消えてゆき、最後には主人公だけが残って、その正体を目撃する、と言う構成にすべきだった。

そうそう、超個人的好き嫌いとして、主人公の聾唖の娘役の子役が、ハリウッド映画ではいじめられっ子でよく出てくるようなぽっちゃりさんで、障害のある役としては適役なのかもしれないが、ちょっと長編映画の主役級としてはキツかったんだよなぁ(´д`) 体型よりも顔の好みとしてだけど。