思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

池田千恵『描いて共有!チーム・プレゼン会議術』を読む

基本的にはファシリテーションですが、いわゆるKJ法など、アイデアの出し方からまとめかたまでを、ホワイトボードをうまく使って進め方法が紹介されています。

印象に残ったところ。

「会議は、本来楽しいものであるはずです。皆でアイデアを出し合って、変えられそうもなかった現状を変えることができる「場」が会議なのですから。」
「話が思いもよらないところに飛んで行ってしまう会議や、長引いたわりになかなか決まらない会議を防ぐため、ゴールをあらかじめ設定しておきましょう。 具体的には、
この会議では何を決めるか
この会議は、終わったら何がどうなっていたら成功と言えるか」

「「ここが問題だ」と思っていたことを深く考えていくと、実は別のところに本質的な問題があった、という場合が多くある(略)問題をまずはすぐに決めつけず、幅広く問題点を拾っていき本質を見つける必要がある」



『ダイナー』平山夢明
☆☆☆★

冒頭の拷問シーンこそかなり強烈なインパクトがあるものの、それはあくまで平凡な(実は少し普通ではない重たい過去があることが後で明かされるが。いや、そうでもないとそんなヤバいバイトには手を出さないという説得力もある)若い女性の日常と地続きだがら。
闇社会そのものと言えるダイナーに舞台が移ると、残酷な殺し合いも、解説にあるように、山風忍法帖的なファンタジーのようにしか感じなくなってくる。
殺し屋と無垢な少女、というのはラノベではよくある設定だが、その容赦なさなど、単なるご都合主義には感じさせない部分もある。
背骨はつながっているが、連作短編集的なスタイルなので読みやすくもある。これで、一人称の女性主人公が、毎回殺されるスタイルならさらなる傑作になったのになぁ…。作中では、過去に同様にウェイトレスとして買ってきた(雇ってきたの間違いないではない)女性が八人殺されている、という設定があるわけだし。8章までは毎回最後に主人公が殺され、終章では生き延びる、というほうがミステリー的にも美しいし。
本来なら、食べ物が喉を通らなくなるような内容なのに、ダイナーの主人が作る料理描写は実に旨そう、というのが本作の不思議なところ。死体がゴロゴロある世界なのに、人間の死体を材料にしているわけでもないのが逆説的かも。