思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『出身地でわかる中国人』宮崎正弘
☆☆☆☆

裏表紙アオリによれば「中国大陸全33省を踏破し」た著者による支那(というよりここは中華人民共和国というのが妥当か)の地域性ガイド。それに加えて地域の風土・歴史なども踏まえたルポ。宮崎正弘版『街道をゆく』といったところか。

文化大革命では4000万人が壮絶な内ゲバで死んだとされる」
一千万、と聞いたが、支那通が言うんだから、数字に信用が置けない支那/中国のことは言え、可能性は高いのかもしれない。しかし日本なら国民の三分の一にあたる人命が失われているのならすさまじい。

「1946年、この街で2000人とも3000人ともいわれる日本人が虐殺された。これを「通化事件」という。(略)日本人がやたらめったら機関銃で虐殺され、死体は河に捨てられて血の河になったのだ。」
犯人は明言されていないが、満州だった吉林省なので、やはりソ連

「『三国志演義』という小説は、しょくの立場からの改竄史観である。」

万里の長城の石材を組織的に盗んで建設材料に転売しているグループが一番多いのも陝西省なのである。(略)省内850キロにもおよんだ万里の長城、その250キロ前後がすでに石材転用のために盗まれている。」

「中国では(略)時差は3時間以上なければいけない。それなのにどこへいっても時間は統一された北京時間だから、東では太陽が煌々と照りつけていても、新彊ウイグル自治区では夜が明けていない。(略)「中華思想」からくる統一思想なのか、単純すぎるほどの帝国主義の残滓なのか、真意をはかりかねる。」