思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『グレートウォール』

☆☆☆

つい『レッドクリフ』と混同してしまっていた。序盤で万里の長城が映る時点でその勘違いは解消されるのだが、ちょっと様子が変だ。
なんとモンスターが出てくるじゃないか?!
確か予告では出てこなかった気がするので、怪獣映画であることは宣伝上、伏せられていたのか。
チャン・イーモウアメリカ人がダブル主演のモンスター映画を撮るなんて、いわゆる南京大虐殺の映画や北京五輪こ開会式など以来、中共プロパガンダにどっぷり浸かってしまったか……(´Д`)
イーモウらしさと言えば、カラフルに甲冑が色分けされた軍団のビジュアルくらい。あとはツイ・ハークだと言われても全く違和感のない内容だ。要する、よく言えば痛快、悪く言えば中身のない、単なる娯楽作。
その唯一のイーモウらしい彩りも、甲冑だからキンピカなので、よく言えば極彩色できれいと言えるのかもしれないが、やはりケバいとしか見えない。となれば、良いところがない……。
モンスターに知性がある、というのが特徴なのかもしれないが、主役たるマット・デイモンが行った時には、砦の面々は既に知っており、命がけでその秘密を知った、というような謎とその発見の驚きがないのだ。これはSFとしては致命的。
画面作りとして、『ロード・オブ・ザ・リング』がやりたかったのは明瞭(バレバレ?)で、マット・デイモンレゴラスだとか、投石機なんかが分かりやすい。それに加えて、ツイ・ハーク映画によく出てくるビックリドッキリ兵器(目を疑うバンジージャンプ槍兵や、壁から巨大ハサミが出てくるとか、気球に兵士が乗るとか)が加わる。
要するに本作は、中華ファンタジー版『パシフィック・リム』、香港時代によくあった劣化コピー版の映画と言えるかも。
中国の怪獣によくある問題として、モンスターにキャラクターとしての魅力が乏しいという、怪獣映画としての致命的欠陥は本作でも同様。
ラストも、前線で幼体に餌を長々と与えるとか、主人公サイドに都合良すぎ。
エンドロールさ絵画調のスチールで、レイヤーを組んで動いてる風に見せる。これ、よく見るけど最近の中国の流行り?