思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『満鉄と満州事変意外史』岡田和裕
☆☆☆★
光人社

真ん中やや左寄りくらいの本。最大の問題は、どのへんが「意外」なのかよく分からないところ(^_^;)と、支那大陸での反日暴動・虐殺が全く書かれていないところ。デモどまりなのだ。

「国内の経済は八方塞がり。日貨排斥の影響で対中輸出が36パーセント減、卸売り物価は暴騰、農漁村では欠食児童が20万人を突破」
という国内事情と、支那での治安の悪化を前提としなければ、支那進出は語れないのに。

「鎌田研一(略)は事変から建国に至る半年間の満州の出来事を『奉典城』『王道の門』『新京』の三部作で著した。」
本書でも、事変の全貌はよく分からないので、こういう小説も読む必要がありそうだ。

事変中でもソ連製の車輌を奪取してハルビンへ向かうエピソードは、それだけで乗り物パニック映画ができるほど手に汗握る展開だ(不謹慎だが、戦争アクション映画を作る動機はそんなもんでしょ)