思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『山陰ドン行に死す』開始・読了

辻真先
☆☆☆★
徳間文庫
トラベルライター瓜生慎シリーズ。ドン行の名前つき列車「山陰」は、82年に廃止されたようで、その直前に書かれたのが本作だ。
鳥取と米子の間にある臼の湯温泉(実在?)が舞台。
バラエティあふれる人間関係を見事に描き分け、謎や真由子の父の若き日の過ちなどの小説としての設定、全体のプロットもしっかりしている。タイトルになっている「山陰」の意外な使われ方もいい。
ミステリ作家として脂の乗り切った時期に書かれただけある佳作である。