思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』石井光太
☆☆☆★
新潮社
世間を騒がせた、実親による子供の虐待・殺害・死体遺棄事件。まさしく鬼畜の所業だが、冒頭には「彼らなりに子供を愛していた」のだという。
本編を読んでみると、彼らの親じたいがまともな子育てをしていない。親子の愛情を知らないと、子育てもできない、という結論なのだ。
普通の家庭に育った人なら自分の子供がちゃんと育つかどうか不安な人は一安心かも(^_^;)
エピローグに、施設に預けられた母子たちでも、健気に頑張っている人たちもいる、というエクスキューズがあるのはフェアかも。

『鉄道探偵団 まぼろしの踊り子号』倉阪鬼一郎
☆☆☆
講談社ノベルス

倉阪ミステリーの新ジャンル。良くも悪くも、辻真先が書きそうな、ライト鉄道ミステリー。瓜生慎シリーズの新作、と言われても分からないくらい、登場人物も文体も似ている。作者らしいと言えば、線路沿いを走る「ランテツ」なる鉄道オタクが登場することくらいか(そんなやついるのか?)。


『戒名探偵卒塔婆くん』高殿円
☆☆☆
角川書店

なんか『烈車戦隊トッキュウジャー』みたいな、交換可能ないい加減なタイトル(『特急戦隊レッシャマン』みたいな)。
仏教系のトリビアが楽しめる、ということで読んでみたが、それ以上のものはなかった。本格ミステリ作家が余儀で書くような。『介護探偵』とか『物件探偵』の系譜。
前の3つはそこそこたち1、ラストの前後編『いまだ冬を見ず』は、辻真先の『村でいちばんの首吊りの木』とか『郷愁という名の密室』みたいなナツメロもので、イマイチ。松下とかソニーとかの実在の立志伝中の人物ならともかく、架空の人物の履歴についてどうこう言われても興味でないよ……。まだ短編ならともかく、2回ぶんもいらない。百田氏や深水氏みたいに、右翼的な歴史的史実を明らかにしてくれるならともかく……(ただし、反日でもないのがまし)。