思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『早春賦』読了

山田正紀
☆☆☆★
角川書店
山田正紀には珍しく普通の時代小説な上、『山はは』以上に会話の上州弁が強烈で、中盤まではなかなか乗れず、読み進められずに苦労した。
後半になるとアクションや歴史的蘊蓄も混じって来るので面白くなった。このあたりの構成は、映画的というか、娯楽小説の王道だろう。
「戦場にあってはな。槍は突くものではない。振りまわして相手をたたき倒すためのものなのだ。あるいは敵の槍を打ち折るか打ち落とすためのものなのだ。敵を突くのはそれからのことさ。」豆知識。他にも、槍を受けると刀の柄紐が切れる、などのディテールにわくわくした。