山田正紀
☆☆☆★
早川書房
あとがきに書いてあるように、『ハイペリオン』に触発されて書かれた作品。山田正紀作品にはそういうのが多いが、それを公言してなおかつ別ものになるのが凄い。(こういうのができるのは他に西澤保彦がいる)
今回は言われるまでもなく、チームである目的地に向かう、途中にメンバーの物語が挿入される構造などはまさにそのまま、である。
さらに考えたら、イリュミナシオン・スペースという逆時間流の設定もシュライクや娘のそれに重なるのかもしれない。
ランボーや柿本人麻呂などの誌を作品に織り込むのは山田正紀作品ではお馴染み。
量子論やひも理論など、ハードSF的なガジェット(？)を出しつつ、最後は何故かボクシング(^_^;)になるなど、派手さとは正反対の、良くわからない終わり方をするのも、最近の欧米SFとは異なる点である。
読み終えて見れば『ハイペリオン』のような大きな謎解きはなく(暗黒洞の正体は前半で推理できたし)、アオリにあるように、幻想小説としての印象が強いものになっていた。
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