思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

渇水

河林満
☆☆★
角川文庫

原作チンピラ。どれもが短編で、マザコン、回想シーン多め、水に関するテーマが共通している。

渇水』☆☆☆
映画の原作だが、だいぶ異なる味わい。エンタメ小説として見るとするなら、回想シーンが多く、それらを整理するのが大変/煩わしい。主人公の岩切と、相棒の木田との役割分担が映画とはかなり違っていて、岩切の限度が木田になっていたり、逆になっていたりする。最大の違いは、滝を見に行くのが、こちらでは二人、というところ。
ただし、本作だけ読むと、文章は純文学的でまだろっこしいし、とてもエンタメ映画にはならなそうなところを、うまく脚色している。
何より、(本作のオチだが)映画でも金魚鉢に水道水を入れるシーンがあり、「大丈夫かよ!?」と訝ったのに、何もなかったのに対して、本作はしっかりと、それが、少女たちが自殺するきっかけちなっていたので、ある意味スッキリした(^^;)


『海辺のひかり』☆☆
ザコンかつ、早逝で写真もなかった母親の墓を移葬するため、墓を掘る。その間に回想シーンが入る。回想シーンが9割くらいという構成。


『千年の通夜』☆☆
これまた、旧友の通夜に行く前と、通夜の席で、過去を振り返る話。なんで四人の主要登場人物のうち、二人の名前がAとSなのかが不明。これ、後でつけようと思ってた仮名で、死後に未完成原稿として発表されたからじゃないの??