思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ダークナイト・ライジング

☆☆☆☆

20年前くらい、レンタルで『ダークナイト』を観た後に観ているはずだが、全然記憶になかった。
デント署長が死んだ後、彼を殺したのがバットマンということにされ(これ、『ダークナイト』であった展開だっけ??)、バットマンも引退していた。
そこへ、『マッドマックス』の悪役みたいなマスクをつけたハゲ・ヴェントがゴッサムを襲う。
一方では、アン・ハサウェイがブルースの屋敷に忍び込み、母の形見のネックレスを盗む。それを機に、バットマンが復活する。
ヴェントは、ブルースの会社の地下あった核融合炉を奪い、ゴッサムの市民を扇動する。
まず、名前がややこしいのが問題。ブルース・ウェインと、悪役のヴェント。あと、ベントってやつもいたような……(@_@)
ヴェントに唆されたゴッサム市民がやってるのは、完全に共産主義、なかでも中国の文化大革命そのもの(´Д`) 金持ちの家を襲撃し、「裁判長」が死刑か追放を宣告するだけの「裁判」を行っている。制作者は、それを分かっていてやったのかなぁ……。まあ、バットマンによって「悪(ヴェント)」は倒されるわけだから、ある意味、反共映画ではあるのかも知れないが……。よく言われるみたいだが、本作の一般市民は、衆愚そのもの。権力者(警察や政治家、またはヴェント)に簡単に操られる存在に過ぎない。
アン•ハサウェイは、キャットウーマンか、峰不二子的な立ち位置。肩までの綺麗なストレートヘアが魅力だ。ハイヒールで繰り出す蹴り技もスマート。華奢な彼女が『ダークナイト』から出ているバットバイク(正式名称は知らない)で爆走するのは、アンバランスな魅力がある。歴代の正式キャットウーマンと比べても、一番好きかも。
よく言われる、ノーラン監督はアクション演出がヘタ、というのは、私はこれまで特に不満を覚えたことはなかったのだが、本作の、「井戸」から登って脱出しようとするシーンでは、はっきりわかった。脱出不可能とされている井戸だが、なぜ脱出できないのか、無理ゲーたる難所が、さっぱり分からないのだ。何回もジャンプ失敗を映しているうちに、ようやく途中にジャンプするしかない切れ目があるらしいと分かるが、それを示す俯瞰ショットを入れてくれないと、登場人物たちが決死のジャンプをするシーンでも、全然緊張感を共有できないやん(´Д`)
バットモービル=タンブラーが、量産型として、サンドカラー迷彩で登場するのも、なんか複雑。あんまり似合ってない。
ザ・バットマン』とかを経て、久々に見るとこのバットマンのマスクも、なんか格好悪く見えるなぁ……。
いろいろ文句はあっても、やはりノーラン作品、摩天楼の空撮を始め、圧倒的なショットのシャープさで、退屈はしない。あとは、曲がりなりにも、ラストに人助けシーンがあるのも、ヒーロー映画として満足感に繋がる。

以下ネタバレ

核融合の扱い。爆発するとか、発電機に再接続すると、即座に暴走が収まるとか、何よりもラストの核爆発の規模とか、ツッコミどころは多いが、ハリウッドの「核」描写にいちいち不満を抱いていたら楽しめない(^^;)
どんでん返しとして、ヴェントの黒幕が、ヴェイン社の女社長というのと、回想シーンで井戸から脱出していた坊主の若者が女だった、というのが2つ続けて来るのは、衝撃ではあるが、もうちょっと間を開けても良かったのでは?
ラスト、ゴードン・デビットが、二代めバットマンになるのかと思いきや、ロビンかよ?! という肩透かし。でも、もしかすると、この映画の世界線では、二代めバットマンになるのかも? という含みもある。個人的には、そちらのほうが良かったなぁ。