思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

太陽の子


☆☆★

日本での原爆開発計画に携わる人々を描いた映画。『大地の子』とごっちゃになっていたが、「炎のディスクコマンドー」で紹介されていたので、見てみた。
先に書いたように、「計画を描いた」ではなく「計画に携わる人々を描いた」作品であるという違いが全て。
私的には、どんなふうに実験や計画を進めていたのか、サイクロトロンはいつ出てくるのか、期待して見ていたのだが、案の定、科学よりも人情、というお話だったのが残念。あ、ちなみに東大ではなく京大、というのがポイントかも。
主役の柳楽優弥は、やっぱり上手くて、眼鏡をかけて丸坊主であることも含めて、しばらく、誰か分からなかったくらい。
似たようなテーマでは、やっぱりアルキメデスの大戦に軍配が上がるなぁ。
もちろん、核爆弾の原理くらいは説明してくれるが、そんなの、理系男子なら全員知ってるし。いやら、そうでない人に向けて、というのは大前提として、その先を描いて欲しかった。それこそこの映画を観た九割の人がわからなくても。
あちこちの邦画に出ている國村隼は、本作ではプロジェクトリーダーの京大教授役。腹に一物ある人物かと思いきや、実はいい人訳であった。

以下ネタバレ

当然、広島に原爆が落とされた時には、調査に赴くのだが、その廃墟がチャチなCG丸出しなのが残念。本作は、このシーン、このカットて観客を圧倒させることが全てなんじゃないの!?(´Д`)
長崎のあと、次は京都だという噂が立って、主人公は家族を逃し、自分は山の上から、爆発を観測する、というのが面白い。そこで、母親からつくってもらった握り飯を黙々と食べるうちに、次第に家族への感情が高まってくるのを1カットで見せる柳楽優弥の演技力は圧巻。次第に目が充血してくるのだ。
冒頭からちょくちょく出てくる「天の声」は、最初はアインシュタインかと思ったが、最後まで明らかにされない。「科学の神」みたいなことだろうか。