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『新世紀エヴァンゲリオン　劇場版　Air/まごころを、君に』
☆☆☆★

これまた約２０年ぶりに再見。期待していたものと違った印象だけ覚えていたが、内容をほとんど忘れていたことに驚く(^_^;)
要するに、最後の敵は使徒ではなく、同じ人間だった、という話。ネルフ本部を日本軍（自衛隊？）が壊滅・占拠しようと襲ってくる。
その中で、量産型エヴァによって引き金が引かれ、エヴァの封印が解かれ、セントラルドグマに眠る白い巨人とレイが融合することで、サード・インパクトが始まる・・・という話。
改めて見ると、テレビ版のオープニングにあって、「これがいつ出てくるんだろう？」と期待させつつ、テレビ版ではかけらも出てこなかった要素がほぼ全部見せてくれてたんだよねぇ。
でも、それが「なるほど！」「そういう意味だったのか！」という驚き、面白さ、興奮につながらないのは、「見せて」るだけで、何の意味も説明してくれていないから。
それだけならまだ許せたのだが、最後には訳のわからないイメージカットの連続に、二人だけになったシンジとアスカのこれまた胸糞エンディングに終わるから。
このへん、山田玲司センセイの分析でようやく手がかりが得られたのだが、ATGなる映画ムーブメントを体験していないと、突然内容のない映像が出てくる理由、それによる効果が何なのか、さっぱり分からないのだ。それに、私も観たところで意味もわからないし、面白くなさそうだし、退屈だろうから、観ようとも思えないし(´д`)
それより何より、根本的に、劇場版に至って、なぜにシンジがレイではなくアスカに心変わりしたのか、全くもって納得行かない。まるで『マクロス　劇場版　愛、おぼえています』でヒカルがミンメイではなくミサを選んだのか納得できないのと同じくらい分からん（もしかしたらテレビシリーズを全話観ていればその辺の関係が分かるのかもしれないが、映画だけ観たかぎり）。もちろん、この劇場版では、最初にシンジがアスカに欲情したことは描かれてはいるのだが、『マクロス』とは逆に（？）、テレビではレイのほうばかりで、アスカは完全にひっかき回しキャラ・当て馬じゃなかったのか？　いや、少女マンガなら、そういう存在とくっつく、という展開はあるのだろうが・・・（庵野監督はのちに少女マンガをアニメ化するくらいだから、そっちの素養もあったので、ここでぶっ込んで来たのかもしれないが、そんなの『エヴァ』ファンは望んでないよ！）。
そう、本作は先に書いたテレビOPにあった映像のような「ファンが観たかった要素」と、劇場に来たファンを撮影したり、声優がコスプレした物など「ファンが観たくない要素」をごった煮にした、歪な映画なのだ。要するに、ラストのセリフにあるように、「いつまでも『エヴァが観たい』と言っている、卒業できないファンなんて、オレ（庵野監督）からすれば『気持ち悪い』」という決別宣言なのだろうか。
でも、そんな毒を入れなくても、きっちり風呂敷を畳んだ作品を１つ作ってくれれば、ファンは続編だの真実だの言わなくなると思うけどね。富野監督が『Z』を経て、『逆襲のシャア』でやって見せたように。
純粋に１つの映画としてみても、サード・インパクトが起こって、人類がどうなったのかがさっぱり分からないのが致命的。もちろん、次々に光の十字架になったことは描かれているのだが、それが何を意味するのかが分からないのだ。一人一人が、シンジの内面のように「許し」というか「存在理由」を確認できたのかな？　というのは想像できなくはないが、作品内からは何も分からない。『イデオン』のように、全員死んで生まれ変わるのか、『幼年期の終わり』のように進化するのか、『ブラッド・ミュージック』のように地球・人類全体が１つになるのか（球体に緯度線・経度線が入っていくあたりはまさに細胞分裂を思わせる）。
私的には、「人間」補完計画ではなく「人類」補完計画だから、『幼年期の終わり』路線を望みたかったのだが・・・。
最後にシンジとアスカが生き残っているので、それもまた違う。そもそも、なぜ、どうやってアスカが生きていたのか？　たまたま死んでいなかったのだとしたら、包帯を巻いたのはいつ？　誰が？　どこにあったの？　など、おかしいこと、謎ばかり。
いや、あれもエヴァの内部にいるシンジの内面でのことというなら、全ての人類があんな風に自己否定されているってこと？　なら、人類は肉体的にはもちろん、精神的にも終わりやん(´д`)

『シン・エヴァンゲリオン』の完結編を前に、旧テレビ・劇場版で私が知りたかったことをまとめてみた。

●人類補完計画とは？
テレビ版のように個々人の自立を描くだけなら、先に書いたように「人間補完計画」なので、納得できないし、旧劇場版のように、地球人類全体は描いても、個々の内面どころか外面も描かれていないのではやっぱり分からない。
○私の想像
やっぱりSF者としては、地球環境悪化にも適応できる新人間にDNA操作で進化する、という方がいいなあ。水中でも宇宙でも装備なしで呼吸できる、『シェイプ・オブ・ウォーター』的な外見で。というか、いっそ全人類がエヴァになるのか。

●ゼーレとは？
旧劇場版では、０１がサイボールあるいはアンドロイドである（今風に言うならAIか）ことは分かったが、誰が、何の目的で（人類補完計画を監視・推進するためだろうけど）作ったのかは不明だ。
○私の想像
人類は一旦ほぼ絶滅していて生き残った９人が人類の遺伝子を集めて、人類を再生させようとしたが、自分たちは生き残れないと知ったので、あるものは義体を作り、他のものはモノリスに精神だけをアップロードした。

●エヴァはどうやって作られた？
シンジの母親で、イカリ司令の妻であるユイらしいことは分かるが、具体的にどうやって作ったのかは分からない。そもそもユイって何で死んだんだっけ？(^_^;)というくらい覚えてない。
○私の想像
ユイのクローンが奇形化した？　使徒との混血？
先に書いたように、使徒とのDNA操作を含む、遺伝子操作による人類の進化形の最初の成功事例か。