思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ツィゴイネルワイゼン


☆☆☆★

ちょくちょく(主に居島一平ちゃんから?)言及があるので、気になっていた作品。リマスター上映を機会に、ケーブルテレビで放送してくれたのがありがたい。
変な映画であることは間違いない。不条理というか、ナンセンスコメディというか、超自然的ホラーというか……。
時代のせいか、『それから』みたいでもあり、押井守庵野秀明作品にも多大な影響があったことが分かった。特に拍子木の、ブリッジとしての使い方とか。
主演の原田芳雄演じる中砂は、元から好きではない(20年前くらいに、テレビのバラエティ番組で見た時もそうだったが)けど、本作では、前髪で左目を隠しているのがめちゃくちゃ気に障った。最初は、眼帯でもしているのか思ったくらいに。まあ、中盤に、親友の青地の妻に、右眼を舐められるシーンがあるから、それを強調するための布石だったのかもしれないが。
とにかく、全編に、心にひっかかる嫌な、変な、エロチックな描写のオンパレード。
押井守作品で言えば『御先祖様万々歳!』の効果音の入れ方で、『天使のたまご』のアート映画的な説明放棄演出による仕上がり、という感じ。
一見、つながりのわからない展開は、『エヴァンゲリオン』テレビシリーズの終盤がそれに似ている。
全編アフレコで、声と口パクが微妙にずれているのが、ホントに気持ち悪い。これは、こういう効果を狙ってアフレコにしてるのが半分なのかな?

以下ネタバレ

驚いたのが、主人公だと思っていた原田芳雄が、終盤に入るころに死んでしまうこと。主人公は、バディ役であった青地ということなのか、真の主人公は物語そのものということか。本作は、監督の発言でも、怪談というのが最適なジャンルらしく、怪談ならば語り手以外の登場人物は、ひとことで死んでしまう、絶対的な、どうどてもされる存在だから。
そもそもが、ありがちな物語のパターンに則った展開から逸脱する場面の連続によってでてきている映画でもある。
序盤の、めくら三人組とかね。