思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『スプリット』

☆☆☆★

3人の女子高生が誘拐・監禁される。犯人像の元ネタは『24人の、ビリー・ミリガン』かな? ビリーという人格も重要な位置にいるし。
密室劇かと思いきや、犯人はカウンセラーに通っており、ある種の新本格ミステリーの館もの的なトリックもあるか? とも予想される展開。
映画には、主演俳優の演技に負うところ大の作品がよくある。『マスク』のジム・キャリーとか。
本作も、多重人格を演じ分ける才能が必須。公式設定では9人が表に出ているらしいが、ボーッと観てると、4、5人しか分からなかったなぁ……。
個人的には、ベッキー似のヒロインが「鑑賞に耐える」ものだったので退屈せずに観られたが。
観終わってみれば、設定から予想された「変なやつに拉致監禁されたが、なんとか脱出できました」以上のものが残らないんだよななぁ……。

以下、ネタバレ

本作は、どうやらシャマランの次回作であるヒーローもの映画『ミスターガラス』の悪役を紹介したものらしい。これって、原作でキャラが知られている、マーベルとかなら許される方法で、普通は、『ミスターガラス』の次に公開されるべき作品だろう。そこが、シャマランらしいどんでん返し(?)と言えるこかも。
一作の映画としてみれば、主人公が、(映画の定石としては)普通に脱出したけど、犯人は捕まらなかった、という、極めて後味の悪い結末である。
何回も普通に脱出と書いたが、一緒に拉致されたクラスメイト二人は殺されている。それなのに衝撃がないのは、主人公サイドは友達と思っていないという、主人公の孤独に性格設定にある。もちろん、幼児虐待を受けていたから、犯人に共感できたので、助かった、というストーリーはあるのだが……。
ケーブルTVの解説では、「シャマラン映画史上、最も衝撃のラスト」とあったので、半信半疑ながら観た。話半分としても、せめて、犯人の多重人格は、主人公のほう精神分裂が生み出した幻覚だった、とかのほうが良かったなぁ……。