思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

冥王計画ゼオライマー

☆☆☆★

OVAの歴史を語る上では外せない作品。平野俊弘監督、菊地道隆キャラデザイン&作監、森木泰弘メカデザイン。
よくもまあ、あんな線の多いロボを動かしたもんだ(@_@) 爆発などのエフェクトの描き込みも凄い。
キャラのほうも、テンプレ的で、深みはないが、しっかり区別はつく。
菊地キャラだから、好みはさてとき、パッと見の美麗さは充分。裸のサービスシーン(1話ではベッドシーンも! 昔観た時は、これで観るのやめちゃったんだよなあ。やれやれ)も、各話ごとにあるし。
最初は、単なるありがちなロボットバトルものかと思いきや、第2話のラストか3話あたりで、悪意が露わになる。ラストまで見れば、確かにOVAの歴史に残るよなあ、というお話ではあった。全4巻とコンパクトなのも良い。
各話とも、アヴァン・タイトルだけでオープニング主題歌はなく、代わりにヒーローもののオープニングのような歌がエンディングで流れる。

以下ネタバレ

前の半分くらい観た段階では、『マーズ』か『ジャイアントロボ 地球が静止する日』(悪の組織から最強のロボを奪う、というのは、ドンピシャの作品があったと思うんだけどなぁ)をやりたいのかな、と思うが、それにどころではなかった。
主人公が、天才科学者のクローンで、ロボットに乗ると記憶が目覚める、というあたりまではよくある設定。相棒の少女が時空転移装置を内蔵したロボット、というのもよくある。
ところがさらに進んで、悪の組織の女首領までが天才科学者の(遺伝子操作して女性にした)クローンであり、どちらが勝っても自分が勝利者になる、という両面張りとなると、ほかに類を見ない。さらには、八卦集全員がクローンだという。
そこまで遺伝子操作した人間は、もはやクローンとは呼べない、単なる別人か、よくても子供だと思うんだけどなぁ……。でも、まあ、ここまでトンデモな設定は、数十年後にハリウッドで作られた某実写SF映画くらいなもんじゃないだろうか。いや、あちらは確実にこれをうわまわるぶっ飛び設定だけど。
ラストはやっぱり『マーズ』を連想せずにはおれない。いちおう、ゼオライマーが勝ったので、ハッピーエンドなんだけど、衛星軌道上からのカットなので、めちゃ虚無感を抱かせるレイアウトになっている。