思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ターミネーター4


☆☆☆★

一度観ているが、クリスチャン•ベールが主役、ということ以外全然覚えていないので、再見。
総論を言えば、『ターミネーター』というSFシリーズの中の、タイムパラドックスをはざまの捻りを加えた、という意味では面白いが、本作単体では、矛盾するお話だし、魅力的な要素がほとんどないので、やはり忘れられるのも無理ない。手放しで褒められるのは、バイク型追跡ロボの疾走感くらいだろう。ターミネーターシリーズなのに、そっちに魅力がなくていいのか? という話だ。
そのあたりのロボ襲撃シーンは、効果音も格好いいし、目が覚めるのだが、それ以外は、それぞれの立場の目的がよくわからなかったり、矛盾してたりして、色んな意味でモヤモヤする。
シリーズのオマージュというか、過去にあった場面をコラージュしているのも、マイナスに作用している気がする。ターミネーターイコールシュワちゃん、という最大のアイコンも、出ては来るのだが、なんか「特別」出演というか、形だけ、というアリバイみたいだし。『スターウォーズ7』ではそれなりに成功していた新旧入れ替えの、失敗例、という感じ。
個人的に、最大のノイズが、ドラマ的には主人公といっていいヤツのキャラがまったく好きになれないこと。なんか学園ものでいえばラグビー部か、不良みたいで、粗暴者つまり私の嫌いなタイプ(´Д`)
ちなみに、お久しぶりな感じの、私の好きな俳優、「ハリウッドのいかりや長介」ことマイケル•アイアンサイドが出ていたのが懐かしかった。

以下ネタバレ

最大の問題は、クリスチャン•ベールじゃないほうの主人公そのもの。性格もそうだが、『ターミネーター1』より昔の設定(正確には、時代設定は未来だが、シュワ型ターミネーターは開発中)なのに、人間そっくり、というテクノロジー的にオーパーツ的なこと。まあ、『ガンダム0083』のデンドロビウムといい、新作で過去を舞台にすると起きがちな問題ではある。まあ、本作では、武器はなくて、人間に擬態することに特化しているので不安定、という、アンドロイドものでは定番の設定ではある。言うなれば『スクリーマーズ』からに武装を取ったような感じ。というか、記憶を完コピしたので、自分がロボットであることすら分からない、という『ロボとーちゃん』問題である。
でも実はそれは大した問題ではなく(死刑後の検体だから、本人は死んでるので、どっちが本物? 問題は惹起しない)、そこまでして作られたターミネーターなのに、自分の任務すら知らない、というのが大問題。人間でもロボットでもいいが、まず任務ありきで、他人を欺くか否か、でしょ? 百歩譲って、普段は忘れているとしてもターゲットを見つけたら、無意識に崖から押してしまうとか、銃の狙いがそれるとか、いくらでも洗脳(プログラム)のやり方はあるはず。映画を観ている観客を騙すこと(観客に対するどんでん返し)しか考えずに脚本を書くから、こういうことになるのだ。
感想を書くのは1週間経ってないのに、もうラストが思い出せない(^^;)『ターミネーター2』のオマージュとして、溶鉱炉と氷結を使うところまでは覚えてるが。