思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

☆☆★

川井さんが劇伴を担当されていたから観たもの。そもそも、解像度が増えるわけでもないアニメを映画館で観る意味があんまり分からんし。お馴染みの『ゲゲゲの鬼太郎』の歌のインストにしたのは渋い。
予告編では、白髪の大人の鬼太郎みたいなのが活躍しているので、てっきりこれが鬼太郎の父親(後に目玉おやじになる)で、彼が主人公で、母親とのロマンスもありつつ、有名な(?)『墓場鬼太郎』の第一話につながるのだと思っていたら、これが全然違う。

冒頭では、次号で廃刊となるオカルト雑誌の記者が、鬼太郎の謎を追ってとある廃村にやってくる。
そこから、舞台は戦後すぐに飛び、水木(下の名前は作中では不明)なる男が、とある製薬会社の先代が亡くなったという情報を得て、次期社長への引き継ぎに立ち会うために訪れる。そこで起こるのは、横溝正史的な一族の連続殺人事件だ。そこへやってきたのが(のちに目玉になる)親父。立場的には金田一耕助的なのだが、初登場からとらえられて首を刎ねられかけるし、そのまま座敷牢に入れられるし、そこから出てもどうにもパッとしない。
違和感があるのは、水木と、一族は今時のキャラ(川井さん案件で観た『マイホーム・ヒーロー』みたいな感じ)なのに、それ以外は親父も含めて、丸い目の水木一郎キャラなのだ。せっかくの劇場版のんだから、全部水木キャラでハードボイルドに行ってよ(´Д`)
殺人の描写が『ひぐらしの哭く頃に』みたいなせいでPG12になっているのだが、どうせならそれこそあれみたいに全員萌えキャラにするとか。混在ってのはどっちつかずで最悪。

以下ネタバレ

連続殺人の犯人が水木に恋して、東京へ連れて行ってと言っていた娘だったのは、振り返ってみれば、まんま横溝正史的なあるある犯人像だ(^^;)
その理由が、最初は代々の頭首から子供を身籠るという、あたりもPG12っぽい理由(^^;) 要は、近親相姦を繰り返して来た一族ってこと? それともこの先代だけなのか?
水木になついていた孫の少年の身体まで乗っ取るなど、真の悪役たる先代は、つかみどころのない、まるでぬらりひょんのようだ。
序盤ちょっとだけ出てきて、中盤にも出た「M」なる麻薬みたいな薬の正体は、途中ならではの霊的なものかと思ったら、幽霊族(そんなのがあったのね)のエキス。さらに、先代は幽霊族の生命エネルギーそのもので桜を育てていた。これの意味がもうひとつわからなかったけど。『アバター』の生命の樹をやりたかっただけにしか思えなかった。
そこに囚われた幽霊女が身籠っていたのが鬼太郎。これ、エンドロールで流れる原作と全然違うやん!? 改変ならまだしも、知ってて並列する、ってどういうこと? この一点をもって、この映画を全否定してもいいくらいじゃない?