思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

フローズン・グラウンド


☆☆☆

ニコラス刑事(いつものオヤジギャグではなく、本作ではホントに刑事役(^^;))が、連続殺人犯ジョン・キューザックを追う、実話を元にしたサスペンス。
原題も同じだが、邦題は『凍れる大地』とかにしたほうが良かったんじゃないかなぁ。
ニコラス刑事が、バッテリーが上がった相棒の車に給電するシーンは、わかりやすく一体感を演習していたが、その割にその後、バディとして一心同体でやらざるを得ないシーンというのはなかったような……。
また、主人公の奥さんも、最初は犠牲者の娼婦をたった一晩止めるのも拒否したり、夫に転職を勧めたりしていたのに、終盤にでは犯人の手がかりを知ることがわかりやすくって狙われる娼婦を最初から心配していた風になったり、刑事を続けろと言ったり、脚本に整合性がない気がする。
何度も出てくる北米北部の寒い山の近くの町を空撮で捉えたショットで、なんか最初の『凍てついた』感じは充分に伝わってくる。雪を降りしきってるしね。そして、その大地の下には、いくつもの死体が埋められているのだ。
犯人は分かっているので(実は別の真犯人がいた、というパターンもあるので、100%安心はできないが)、倒叙ものとして、どうやっけニコラス刑事が、証拠か自白を引き出すか、に関心は絞られる。
犯人はニコラス刑事の追跡を振り切って証拠を埋めてしまうし、唯一の証人である娼婦も、アングラで生きていることと、犯人からの復讐を恐れて、協力的とはいいがたい。果たして……という話だ。

以下ネタバレ

倒叙ものミステリーとしては全然良く出来ているとは言えない。証拠は、ひたすら犯人の家を家探しして見つけたものだし、娼婦も、店や元締めたちとのいざこざに沸き込まれて、刑事の元に逃げ込んで来ただけ。
天才的なひらめきや推理というより、単なる「執念の捜査」という感じ。それでも、『ゾディアック』みたいに10年とかかけていないので、警察としてはしっかり仕事したな、という感じ。