思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

そしてミランダを殺す

ピーター・スワンソン著/務台夏子訳
☆☆☆☆
創元推理文庫

なんと言っても帯の「3回驚く」というアオリに惹かれざるを得ない。
タイトルから『アカロイド殺し』を連想せざるを得ないのだが、これは内容を知った上で、出版社が敢えてつけたのか、売らんがためのジャロもんなのか……。何しろ原題は『the kind worth killing』である(熟語の意味忘れたなぁ(^^;))。
海外ものの常として、小説的な情景及び感情描写が多すぎるので、読むのに時間がかかった。ある程度流し読みしてもいい、塩梅を見極めて、スピードアップできたのは、300ページあたりから(^^;) (デビュー)折原一なら、2百ページくらいでエッセンスはそのままに仕上げるだろうに(´Д`)
なお、主人公が女性でもあり、セクシャルな話題もちょくちょく出てくるので、なんか女流作家っぽい。小池真理子とか。
ミステリとしては肝腎の、どんでん返しだが、中盤に入るあたりで立て続けに2回、ラストに1回ある。確かに、買う価値はある。

以下、ネタバレ

主人公は女性だと書いたが、最初は最後まで、リリーとテッドとを交互に描く、ミランダを殺すまでの倒叙ものかと思わせる。クリスティの某作品のような。
ところが、章が変わって、テッドの代わりに別の人物が一人称になる。4章まで、一巻して視点人物をとり続けるのがリリー。彼女が主人公の倒叙ものだったのだ。
最後までリリーが捕まらない、ノワールかと思いきや……。「最後の一行」ものだった。これだけで★は上がる。ただ、その理由は少々ベタすぎ、かつ伏線がないのが難点。