思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『UFO殺人事件』福田和也
☆☆☆
光文社カッパ・ノベルス

70年代のミステリー。全然知らなかったが、パイロット出身で、いろいろな業界で働いた経験もある人らしい。
本作は、タイトル通りUFOとバミューダ・トライアングル、それに夏見正隆ばり(もちろん、こちらの方が先輩だが)の航空機の操縦(管制、機体情報含む)、それにプロ野球界など、実に欲張りに盛り沢山の要素でできている。
硫黄島の近くでメーデーを発して墜落した飛行機内にあった3つの死体はミイラ化しており、一人の掌には「UFO」の文字が。ちょうど、メーデーを傍受して救助に向かった海自の救命艇からはUFOが目撃されていた・・・? というのが導入だ。本作で探偵役を務めるのが、その自衛隊員と、彼の友人の元記者で、今はスナックをやっているという男。
社会派ミステリーと言える。
上述のように、謎や情報が次から次へと提示されるので、飽きる暇がないのは、いわば連載マンガが、雑誌で読んでいる最中は無類に面白いが、オチがイマイチ、というそれと同じタイプの作品だ。
名探偵ものではなく、尚且つ刑事ものでもないので、真相が終盤に差し掛かるあたりから段階的に明らかになるので、どんでん返し的な面白さは低いし、止めの真犯人の独白も、いくら主人公がパイロットだからって、容疑者を隣に乗せてアクロバット飛行をして、ゲロ吐かせたら、なんでもペラペラ喋って終わりって・・・。
犯人の動機がもう一つ納得行かなかったのも不満。
当たり前といえば当たり前だが、UFOの正体も科学ファンとしても、SFファンとしてもイマイチ、イマフタツ

以下ネタバレ

UFOは、てっきり航空用語(略語)だと思っていた(読者の知らない知識系のミステリーというのも、ある程度あるある系の1ジャンル)のに、違った。