思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

地獄少女
☆☆☆


このシリーズの魅力って何だろう。私は勧善懲悪のヒーローものだと思っている。
主人公がいて、徹底的に追い込まれて、一発逆転として地獄少女が(主人公にとっての)悪者を文字通り地獄行きにする。
『必殺仕事人』とか『水戸黄門』とか、戦隊シリーズなんかと同じなのだが、特にチャンバラ的なアクションシーンはなく、静的なのが特徴。
もう一つがシリーズの主人公である閻魔あいの思いが排除されていること。ほとんどナレーターか、というくらい設定を説明するだけなのだ(閻魔あり自身の過去話を除く)。

では、この実写映画版はどうなのか?(ちなみに、実写テレビドラマは観たかったけど、未見)
ホラー畑の白石監督だからなのか、閻魔あいが心霊的に描かれているのが最大の特徴。アニメのファンとしては、閻魔あいが人間的な善悪理非を語るのが、違和感あったなあ・・・。
地獄通信とのアクセスにもショッカー的な演出が加わっているのはまあいいとしても、呪った方が生前にもちょくちょく地獄を垣間見るのはいらなかったと思う。
その割には、本作は善人・悪人の立ち位置がちょっとおかしい。
宇多田ヒカル似の主人公は純真なので良いとしても、ライブの痴漢を撃退してくれたことをきっかけに親友となるのが問題。初見から、最後まで男にしか見えなかったのはまあ置いといて(^_^;)
先生だろうが同級生だろうがすぐビンタするし、母親にも同様。そんな奴と主人公が親友になるか? せめて幼なじみが長じてグレた、というなら分かるが。または、こちらを主人公にして、純真だった少女が新興宗教にハマって・・・という方が普通だろう。
新興宗教と書いたが、本作におけるカリスマバンドのやってることは、ドラッグ、殺人、生贄など、完全にカルト。このボーカルがラスボス的に、最後に地獄に送られるのだが、最初、閻魔あいを召喚しようとしていた神が顕現したのだと勘違いする。でもこれって、本作のように悪事をやりまくっている奴がそうなるより、信者にも視聴者にも善意しか感じられない教祖がそうなる方がよりブラックでいいんじゃない?

構図としては、ちょくちょく『リング』をはじめいろんな映画のパロディ(オマージュ)があったのが面白い・・・というより、ふざけてる感じがして萎えるのと、アンビバレント(^_^;) 拘置所での『三度目の殺人』とか。
地獄へ落ちるシーンでの極彩色の穴とか、70年代のホラーみたいだった。
閻魔あいの居る、池のほとりにある巨木は、(合成かもしれないが)よくロケ地を見つけてきたな・・・というぐらい、アニメファンの私も納得。
本編としては最初の被害者であるアイドルの母親が首を切るシーンは良かったかも(^_^;)これを『グリーン・インフェルノ』を後ろから撮ったよう、とオマージュに断定できなくもないが、ちょっと強引かな。

ある意味、本作最大のポイントである閻魔ありのビジュアルは、少女というにはとうが立ちすぎ? というのは我慢すれば、そこまで悪くないが、やっぱりヅラ丸出しなのが萎える(´д`)
賭ケグルイ』でもそうだったが、どうしてこうなるのかなあ・・・。安物のヅラを使ってるから? 頭頂部の分け目とか、ほつれ毛が見えないのが安っぽいのよ。
少なくとも、メイクとコンタクトで、人間ならざる存在感はドラマ版以上に魅力があり、十分合格点。
三藁は、別にいなくてもいいと思うが、まあいろんな大人の事情を考えたら、こんなもんか。ただし、輪入道は普通に顔がめちゃくちゃ怖すぎて良かった(^_^;) 逆にゾンビっぽい動きはいらんかったな。