思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

初恋のきた道


☆☆☆☆

高校か大学の時にレンタルビデオで見て、再見しても、全体の印象や評価は変わらなかった。これは、ある意味凄いこと。
本作が「恋愛映画」ではなく「初恋映画」だからこ、なのかも。つまり、相思相愛として付き合っている(デート)描写がないのだ。
ただし、チャン•ツィイーのほうは、都会からやってきた高学歴の青年、というブランドで、「恋に恋するお年頃」で、一目惚れするのはわからなくはないが、青年のほうがこれまた気にかける、というのは偶然を重ねすぎてはいない那ろう? まあ、チャン•ツィイーには女友達もいないし、何故か10歳くらい下の小学生ばかりいる、という不思議な人口構成で、おまけに村中で二人の接近を邪魔する人がいない(母親こそ、やめとけと忠告するが)、という、ある意味セカイ系的な都合の良い状況ではあるのだが。恋愛、なかんずく恋というのは大なり小なりファンタジーだから、ことフィクションにおいては、都合の良い設定を、そう感じさせない雰囲気づくり(演出)こそが大事(といか、真髄?)なのだろう。
初見時は言語化出来なかったが、『英雄』を踏まえて振り返って見ると、四季を表現しつつ、色鮮やかな景色の色彩設計にも感服する。主人公のチャン•ツィイーは貧しいが故でもあるが、つねにピンクの半纏みたいなのを着ているし。常に、という意味では、髪型も、寝込んでいる時ですら、おさげ髪を変えない、という、ほとんどアニメ的、ともいえるリアルとは対極の演出だ(別に悪いと言っているわけではない)。
初見時と変わったといえば、チャン•ツィイーが、そこまで可愛いとは思えなくなっていたこと。単純に自分が歳をとっただけだろうが、『グリーン•ディスティニー』『英雄』『グランドマスター』もかのほうが好みだなぁ(^^;)
あとは、やっぱり、茶碗を二つ、どら焼き状に重ねることで弁当にするスタイルがなんかいいね。陶器がカチャカチャ言う効果音も巧み。
ついでに言えば、彼女が作る弁当も素朴ながら、だからこそ美味しそうで、イート映画としてもマル。