思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

パラノーマル•アクティビティ


☆☆☆★

タイトルの響きだけだが、勝手に『ユージュアル•サスペクツ』みたいなどんでん返し系のホラー/サスペンスかと思っていたので、全然違う内容に驚いた。
『ブレアウィッチ•プロジェクト』のような、というか(未見なので『アト6』とかの情報だけからの類推)白石監督の作品群のようなファウンドフッテージもの。
同棲した彼女が、怪奇現象体質(憑き物系?)なのを知り、何もないことを納得させるためにビデオで寝ている部屋を定点録画することにした。ついでに主人公の男の茶目っ気で、二人の私生活も録画していたら……という設定じたいは、うまい。定点カメラに映る怪奇現象も、まあ、こども騙し的ではあるが、悪くない。ラストのオチにもびっくりした。
ここまで書けば、本作はなかなか頑張ってる、観るべき映画だと思うだろう。でも、本作は好きじゃない。
主人公の彼女の言動が、怪奇現象に精神をやられてパニクってる、ということを差し置いても、支離滅裂で、まったく同情できないのだ。主人公の男は二十代のデイトレーダーで、彼女はまだ大学生らしいが、その勝手な言動は小学生レベル。
また、幽霊の専門家を呼ぶのだが、これがびっくりするくらい何の役にも立たない。作中でもそうだし、映画的にも、そうであれば、悪霊に殺される役にでもなればいいのに、事態が悪化して再訪問したと思ったら、玄関て退散する始末。悪霊の専門家は、海外出張で捕まらない。まあ、だからこそ悲劇になった、という言い訳のための設定と言えなくもないが……。
細かく言うと、普段の会話では、回しっぱなしではなく、ちょくちょくカットされていたり、そもそも寝室の定点撮影で、何もない時に早回ししているのは誰? ということになる。冒頭にテロップで出る、このビデオの入手経路を挿入した人が「何もないところを割愛しました」とかあれば別だったのに。そう考える、完全にノーカット&リアルタイムだった『クローバーフィールド』はよくできていたよなぁ……。何故か再見しようとはなかなか思わないんだけど。

以下ネタバレ

ラスト、女に続いて、男のまでも寝室の奥(窓際から撮影している画面から見て)の暗闇へ歩いていって、しばらくして男が飛んでくる、というのは確かにビクっとする。ラストカットは何かに取り憑かれた女のアップ。
ちなみに、DVDには別バージョンのラストが収録されていて、そちらは、男は再登場せず、女が歩いてきて、カメラの前で自ら首を切る、というもの。たしかに、これは採用しなくて良かったよ。普通の三人称視点カメラならともかく、定点カメラの前まで来て自殺する意味がわからない、タメにする演出だ。