思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ザ•ハント

☆☆☆☆

公開当時、宇多丸師匠の映画評は聴いていたが、ほぼ忘れていたので、地味なタイトルに反して侮れない映画であることだけは覚えていたので、期待して観た。
特に前半は、お約束を次々に裏切る、かつスピーディーな展開で、目が離せない。終盤、ジャンルが変わるので、次第にダレるのが残念。
「主人公」の女性は、前半は冴えないおばさん、という感じなのに、後ろに行き、本来のポテンシャルが顕になるにつれて美人になるところが凄い。まあ、髪型(ひっつめから、下ろした)や、メイクによるものも多分にあるんだろけど。

以下ネタバレ

最初は、マンハントものということは知っていたし、タイトルにも明示しているので、主役かと思わせた登場人物があっさりと狩られていくのに驚きつつ楽しむ。これは、登場人物全滅型のスラッシャーホラーかと思わせて、第二幕に至って、ひとりの女性が主役の座に座る。それでも、相棒だと思っていた人物が敵のスパイだったりと、終盤まではツイストの連続でワクワクしっぱなし。このあたりは連城三紀彦ミステリーに通じるツイストだ。
平凡なおばさんだと思っていた女性がなぜこんなに戦闘力が高いのなと訝しむと、「中東帰りの元軍人」だという。そんなのアリ? と思うが、『ライリー•ノース 復讐の女神』みたいな映画、って思わせて、実はそうでもない。
第三幕として、『ソルジャーズ……。アイランド』のような単なる金持ちの娯楽かと思わせて、アメリカにおける左右思想対立を動機というかテーマに持ってきた。それも、単なる金持ち=リベラルと、庶民=トランプ支持者のような映画業界人の典型に堕していないのがポイント。
なにせ、黒幕の女社長が、主人公を標的にしたのが同姓同名の人違いだった、というマヌケなオチなのだから。とはいえ、それが狩の対象として誤りであることや、「意識高い系」のやつらの間抜けっぷり