思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ドラえもん 新・魔界大冒険


☆☆☆☆

普通に面白い。やっぱり魔法ものは強い、というところなのか。
まずは作画は手書きタッチで、どうしてもアニメーターによってばらつきが出てしまうが、なんてことない場面でも、線の入り抜きがあることで、鑑賞に耐えるものになっている。
美夜子は、声の演技はヘタだから、タレントだろうと思ったが、誰だか分からないのが観ている間には悩ましいところ。公開当時は、あちこちで宣伝されるから誰もが知っているのだろうが、後に観る人は、当時だけ人気だったタレントなんて知らんわ、ってな感じになる。逆に、久本雅美メデューサの声をやってるのは、自然過ぎてエンドクレジットを見るまで分からなかったり。
子供のころから映画も原作マンガも知っていたが、美夜子って名前、魔法で変身させられるのだが、猫の鳴き声「ミャー」にひっかけたネーミングだったんだと、今回初めて気がついた(^^;)
物語的には、もしもボックスだとか、タイムマシンだとか、禁じ手的なビッグアイテムをメインプロットに据えている。大腸編も初期の作品だけに、作者の気合が感じられる部分だろう。
ただ、SFファンかつ大人的には問題も。もしもボックスで、魔法の世界になれば、科学の子であるドラえもんは存在できなくなるじゃないの? その時点であったものはそのままっぽい感じはあるが、テレビはあるけどチャンネルのガチャガチャはなくなってるし。魔法の絨毯や空飛ぶ箒が交通手段だから、車がないだろう。そうなると、特に都市部の道路事情は全く異なるし……とハードSF的に考え出すとキリがない(^^;)
前半に出てきた、ドラえもんのび太の石像が動く謎については、子供ながらに真相に感心したものだが、四次元ポケットからの脱出方法には、かなり怪訝な感じ。
序盤から、美夜子が敵が変身した姿でのび太たちを欺く、というのもなかなかハードな展開といえる。
本作ならではの展開、偽の「おわり」カットもしっかりある。これだけでも『ドラえもん』映画史上どころか、子供向けアニメ映画史上に残る歴史的仕掛けだと思う。まあ、私がメタ好きだ、って贔屓目もあるけど。
ラストカットは現在ではのび太の「まさかね」だったと思うが、本作では省略されていた。これは往年のファンからすると残念至極。