思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ディープ・ブルー


☆☆☆☆

以前観た同名の作品はイギリスのテレビ局による海洋ドキュメンタリー。本作は、サメ映画の、『ジョーズ』が原典だとすると、中興の祖的な作品といえるのかも。
原題は『DEEP BLUE SEA』だった。作中の「(サメは)深海に帰る」的な台詞からとったもの。
最初は、「どうせサメ映画だし、アサイラム的なバカ映画だろう」と思って見始めたのだが、早々に覆された。実によくできているのだ。テンポも良いし、誰がどこで死ぬのか、全く予断を許さない。
ざっくり分類するなら、『ポセイドン・アドベンチャー』プラス『ザ・デプス』という感じ。
特に、本作のサメはアルツハイマー治療の薬を作るために、遺伝子操作によって知能を強化されてあるので、実に映画を盛り上げるのち都合の良い行動を取る。完全にサメというより、モンスターだ。どちらにしても、行動のルールが曖昧というか、構成上、観客を驚かすのに都合の良いタイミングで襲ってきたり、動き回ったりするのだけは、唯一の減点ポイント。まあ、うるさ方以外には気にならない範囲かも。
ミステリー的にいえば、「孤島もの」と「嵐の山荘」を合わせたような、洋上の海洋施設を嵐が襲い、怪我人を運びにヘリが来たのは良いが、そいつがサメの襲撃も合わさって墜落、爆発して浸水プラスサメの侵入という、どれだけ登場人物を追い込んだら気が済むんだ!? というくらいの盛りだくさん。サメに食われるところも、単にパクッとされるだけでなく、しっかり噛みつかれていないほうの半身が吹っ飛んだりと、毎回見せ場を描いている。

以下ネタバレ

なんと言っても、誰がいつ死ぬか分からないのが良い。有名なのは、サミュエル・ジャクソンが説得/説教中に一瞬で食われるところだろう。金持ちなので、死にそうな役所ではあるのだが、普通は『ランペイジ』みたいに終盤で死ぬもんでしょ。ただし、この場面だけサメが水から出て噛み付いているので、そこだけはサメの行動(原理、生態とかまではめくじら立てないが)ルールとして逸脱してるのが気になる。
最初にケガしてレスキューヘリに移送してもらおうとした男が食われたのも驚いた。普通は、最初の攻撃で死ななかったら、再び襲われないもんだけど。
さらに驚いたのが、カーターと並んでダブル主人公制で、その片割れだと思っていた女科学者がクライマックスで食われたこと。