思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

女はポルノを読む




元は著者の博士論文だか修士論文だかで、それを元にした本。アンチポルノ運動とか、これまた運動家以外にはどうでもいい、というところもある。ただ、ポルノを行政に訴えて規制させたい派と、倫理的・自由主義的に反論する派がいる、というあたりは、確かに峻別すべきだよなあ、と再確認させられた。
論文らしく、とりあえず多数のデータを収集して、統計学的に分類している。モノローグがあるかどうか、なんて、普通の読者は気にもしないだろう(^^;)
当然ながら、男性向けポルノとの比較は避けて通れず、そここそが面白い部分。
女性向け(レディコミ)には、純粋なレイブものには嫌悪感があるので、成長に繋がるとか、何らかのエクスキューズがいるらしい。
また、BLも当然ながら入り込んで来る。
共通するのが、片方に感情移入するのではなく、第三者・俯瞰的な視点である。特にどちらにも共感しづらいBLの絡みに関しては、純粋に「感じている」ということを観察することに専念できるから、というのは興味深い発見であった。また、その「受け」の対象がコマの中心にある、という発見も。なあ、本書におけるポルノは、マンガに主眼があり、雑誌や小説が少々で、映画やAVはあんまりない。