思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

オデッセイ

☆☆☆☆

普通に面白い。特に欠点らしい欠点もない。ハードSFである原作を、うまく消化していると思う。
冒頭でいきなり事故が起き(原作通り)、終始テンポよく進んで、最後まで飽きさせない。
ただ、主人公がポジティブというキャラ設定の功罪か、絶体絶命感がクライマックスでも漂わないのは、ベタな感動好きには物足りないのかも。
どうあっても実在の事件を基にした『アポロ13』と比較されるが、内容的にはほぼ同一。違うのは、事件が起きるまで本作の方が短いので、観やすい。音楽は、叙情的で劇伴の王道という感じだった『アポロ13』と異なり、80年代あたりのポップミュージックをこれでもか、というくらい流す(作中の人物が実際に聴いている、という設定が上手い)本作とは、これまた対照的。個人的な好みとしてはインストの劇伴も含めて、『アポロ13』の方が断然好き。
メカフェチ的には、火星のメカが、使用感(ウェザリング)どころか、CG丸出しであるかのような質感と、デザインもやりすぎで逆におもちゃっぽくなっているのが惜しい。惑星間宇宙船ヘリオスは、『Zガンダム
のジュピトリスと『6億Kmの燐光』のアプラクサスを合わせて、国際宇宙ステーションのディテールで仕上げたようで、めちゃ格好良かった。
とはいえ、原作を読んでイメージした以上のビジョンは、ヘリオスが宇宙を飛んでいること以外にはなかったので、原作を超えた、とまでは言えない。が、原作の良さを損なっていない。余計な要素もないので、小説の映画化としては理想的かも。

2015年 アメリ