思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

閉ざされた森』☆☆☆★

原題は『BASIC』。邦題にしても地味すぎるので、見る気にはならないのだが、CSでのアオリ文句「食い違う証言」「『羅生門』的な」というのに惹かれて観た。主演はトラボルタとサミュエル・ジャクソン。
冒頭の、密林を飛ぶヘリの映像からしてチープなので、大丈夫か? と怪しくなるが、脚本そのものは悪くない。
特殊部隊が、訓練のためにジャングルに赴くが、それが終わって迎えに行ってみると、軍曹は行方不明で、レンジャーは一名死亡、おまけに仲間で撃ち合っている、という状況。軍法会議のための事情聴取によって、関係者の証言が食い違うことが判明する・・・。
それぞれの証言に合わせた映像が流れるので、いわゆる叙述トリックものの本格ミステリにある、あるいは謎きミステリ映画にある、「地の文」あるいは「映像」にあることは正しい、という理屈が通用しない。
どの時点で「これが正解・真実です」とするかは製作サイドの胸先三寸。本作のオチにすっきりするか、モヤモヤするかは、真っ二つくらいに別れそうな気がする。何しろ、それまで伏線ではなく(証言に基づく)事実そのものを二転三転させるので、よほどの説得力のあるオチでないと、観客は納得しない。

以下、ネタバレ

実は特殊部隊の全員がグルであり、麻薬密売の元締めであった基地司令をハメるための芝居。知らなかったのは主人公である女性大尉だけ。
確かにどんでん返しとしては、最大の大きさのフライパン(全部の要素/登場人物の立場)をひっくり返した、とえるのだが、私的にはモヤモヤの方が多かった。1つ手前の、トラボルタが基地司令を射殺した段階でラスト、でも良かったんじゃないかなぁ。
そのあとのどんでん返しにも「つじつまを合わせる」という関係者全員の口癖を伏線としているので、破綻はしていないのだが・・・。

2003年 アメリ