思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アンノウン・バトル 独ソトブルク東部戦線


☆☆☆☆

アンノウンなんとか、というロシア戦争映画がたくさんあるので紛らわしいが、邦題を勝手につけてるだけだ、全然別の作品だろうなぁ……。
ざっくり言うと、「小隊の絶望的な戦い」もの。
序盤の、とある村へドイツ軍の防衛戦に向かって突撃するシークエンスでは、『プライベート・ライアン』ばりの凄惨な被弾シーンがある。負傷した仲間の手を引いていたら、至近弾のあと、上半身だけになっていたとか。
共産党の政治将校の横柄さが描かれるが、そんな奴でも、負傷したら助ける老兵とか、不条理と、人情が、適度な配分で描かれる。政治将校が、部隊長に、「なぜ共産党に入党しない?」と聞くと「べつにいいだろ」的に返すあたりも、単純な現代ロシアの半独裁を擁護するプロパガンダにしていないところもうまい。
私的には、ちょっと猿っぽいというか、小心な兵士が、ドイツ軍に政治将校とともに捕まり、助かりたければ将校を撃つように命じられ、それができずに自決するのがぐっときた。
映像的にも、砲撃で燃える家を背景に、攻め込むドイツ軍がシルエットになっているなど、相変わらずシャープかつ美しい。ほんと、最近のロシアの戦争映画にハズレなしだなぁ。