思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ゼイラム2』
☆☆☆★


観たのは20年以上ぶり?
ざっくり言えば、熱意は買うが、足りていない部分や脚本的にも微妙なところもあるかな、と言う感じ。50点から、プラス40点、マイナス20点、と言うところかな。
プラスは、ゼイラムの造形。前作では(ネタバレなしで言えば)ラストの畳み掛けが魅力だったが、本作では「中の人」とも言える胸の生物。エイリアンっぽさもあり、実際の女性のメイクと、ギニュールを使い分けているのだと思うが、ほぼ見分けがつかないのは凄い。特にろくろっ首状なので人が入ることはできないのに、ギニョールの操演が素晴らしい。実は実物大くらい大きいのかも??「キーッ!」と言う甲高い鳴き声とか。
ターミネーター』と『2』のどちらが先か分からないが(調べたら『ゼイラム』の公開と『ターミネーター』が同年だった)、最強の敵が味方側につく、と言うのは実に『T2』っぽい設定だ。
マイナスはまさにそこで、登場していきなり雑魚を瞬殺するのは展開が早過ぎ。せめてちょっとは敵を倒す頼もしいところを見せてくれないと(^_^;) 本作の展開は、ある意味ではそれをやったともいえるが・・・。それよりもイリアが一回胸をどついただけで暴走するのは戦闘機械として欠陥大アリ。
曲がりなりにも戦闘経験のある傭兵どもを瞬殺するゼイラムなのに、ただの庶民である神谷と鉄平ふたりごときに怪我すら負わせられないのは明らかに脚本・設定のバランスが狂っている。
あとは、人によっては良いシーンだと思うが、中盤にイリア、神谷、鉄平が1カットに3画面分割して対話する場面。これを入れなかった方が、最後の「やっと会えたわね」が強調されて良かったと思う。
編集のテンポも、神谷(蛍さん)のリアクションなど、長過ぎて冗長になっている場面もちょくちょくある。
アクションのキレも、香港映画や、今のテレビ特撮と比べてもノロいかなぁ・・・。まあ、雨宮監督自身が後に『ガロ』でレベルを引き上げたところはあるんだけど・・・。
劇伴も、メインテーマは哀愁があって、オリエンタルで、クールでいいのだが、疾走シーンには必ずパーカッションが入るとか、ちょっと一本調子かなぁ・・・。

と、マイナス面の方が多くなってしまったが、どれも「あと一歩!」と言う惜しいポイントばかり。特にリアルタイムで見れば『ガロ』並みにクールな作品であったことは忘れずに書いておきたい。