思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

さよなら銀河鉄道999
☆☆★

考えてみたら、こちらは今まで観たことなかったようだ。
虚心坦懐に言えば、「全然ダメダメやん」って感じ。中学生が考えたストーリーか?というくらい見せ場らしきものを、理由なく詰め込んだだけ。脚本の授業で受講生が提出したら、赤点をくらうレベルでは?
冒頭の、鉄郎が999に乗り込むまで。哲郎はともかく、メンバーにとっては誰かも知らない女からの、命令口調の伝言に、ひき止めないでだけでなく、文字通り命懸けで同道するゲリラメンバーからしておかしい。単に仲間の死体を乗り越えて旅立つ、感動的なシーンにしたくて入れただけでは?
富野監督の絵コンテ論を読んだので、999の進行方向が右から左なのが気になった。ただ、ラストシーンでは左から右になるので、メーテルと別れることこそが本当の旅立ち、成長ということか。
ハーロックやエメラルダスが唐突に出てくるのも中2病的。
メーテルの言動は、美貌を武器に男を手玉に取り続ける結婚詐欺師そのもの。映画だから時間的な省略があるが、リアルに考えたら、目の前に座って何日も鉄道に乗っているのに、何も訊かないなんて、それこそ詐欺師に騙される童貞男そのものだ(まあ、間違ってはいないのだが、劇中で「男おとこ」言ってる割には、童貞のっていうのが何だかなぁ……)。
鉄郎の射撃がほぼ百発百中で、敵の銃はほとんど当たらない、というのもマンガ映画的な御都合主義。機械人間の兵士は『スターウォーズ EP1』のドロイド兵士みたいなヘッポコって演出意図なのか?
ファウストが鉄郎の父親なのはすぐ気づくとしても、ファウストの意図は分からん。息子が結婚詐欺師に騙されようとしていたら止めるやろ? そうではなく、主たるプロメシュームが正しいと思っているなら、説得するか、力強くで止める(殺す)のが筋。最後に鉄郎と対決するのも、「子は、父親を乗り越えるもの」というメッセージを言いたいがために、逆算的に無理矢理入れたとしか思えない。
これに限らず、本作には、視聴者が読み取るべき、またはナレーションで語るようなテーマを、登場人物が喋る局面が多すぎる。ハーロックやエメラルダスの全セリフがそうだし、ラストのメーテルのセリフもそうだ。鉄郎が大人になった後に懐古的に語るならともかく。「お前が言うな」とはこのことだ。
そもそもメーテルが鉄郎を誘ったのは何のため?
プロメシュームを倒すだけなら、自分一人でできたやん!?自分一人では、踏ん切りがつかないから、恋人を連れてきて後押ししてもらった?
で、鉄郎以前にも何人もの少年と旅して来ただと? メーテルってショタコンかつ一人と連れ添うことの出来ない、だめんずうぉーかーやん( ´Д`)
あーあ。気がつかなきゃ良かったよ、わたしゃ(^_^;)
エンディング歌は『84ゴジラ』と同系統。外人に日本製の歌を唄わせる、っていうのは80年代の流行だったのかねぇ?