思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ゴジラVSビオランテ』

有馬治郎
☆☆☆★
角川文庫

ビオランテ』ファンとしては自分でも意外ながら、小説版は今まで読んだことがなかった。というより、存在じたい知らなかったかも。
どうやら、準備稿を元にしているようだ(ちなみに初版は平成元年11月)。スーパーX 2の形状の説明が、明らかに横山宏版だったり、三枝未希の名前が早坂未希だったりする。白神博士は「わし」「じゃよ」などと明らかに老人だし。
死亡率が低いことも特徴で、権藤、白神のどちらも死ぬ気配すらなかった(^^;)
ゴジラが復活するのが爆弾テロではなく気象条件に伴う火山噴火だとか、抗核バクテリアを奪還する時のアクションがヘリを駆使して派手だとか、自衛隊が割とあっさり発砲したりと、アニメっぽい演出になっている。その代表は、未希が英里加の思念を感じてビオランテを召喚する時の祈るポーズだろう。
細かいところでは、黒木(特佐階級ではない)の権力が弱めで、権藤が強め、というところにも注目。9 2式メーサー車も登場しない。の
あとは、ラストバトルがあっさりめ。エピローグに入ってようやく若狭到着で、残りの紙幅からして、第二形態にはならないのかと思ったくらいだ。
意外にも、ゴジラVSビオランテの決着は映画版と同じ。てっきり融合版かと思ったのだが……。
小説としてのテーマ的には、バイオ技術の恐ろしさ、映画でもしっかり描かれていた、初代ゴジラと共通する科学と人類の関係性について、しっかりできていた事に注目だ。
返すがえすも、『シン・ゴジラ』の演出で『ビオランテ』のリメイクが見てみたいなぁ……。