思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ゴジラVSコング』☆☆☆★
なんかマイケル・ベイ映画みたいな大味大作だった。
音楽も、冒頭の南部のおっさんみたいな歌ものだったり、他にもコングをおっさんに見立てたような演出があって、どちらも萎えた。それ以外の劇伴も、伊福部節がゼロなのは許せるとしても、特に印象に残るものはなかった。ゴジラのテーマも、なんか伊福部マーチをアレンジしたような、微妙に似ているのがもどかしい。
ストーリーも、平成ゴジラどころか、子供向けアニメのようなご都合主義。サイコな奴らとか、『2012』のようで、人間ドラマが酷評された『KOM』よりも下かも。
前作のヒロインであった子役がブラウンを継承したため、ちょっとレイア姫みたいなビジュアルなのに、準主役級なので、これまたガッカリ要素になってしまっている。
ゴジラも、コングとバトルする必要上、腕が人間っぽく動くとか、顔もなんかブツブツが増えて、マタンゴたみたいでブサイクになっちゃったし(T_T)
『KOM』のモナークを踏まえているので、超科学的なSFメカも色々出てくるし。超深度のリニア弾道輸送はギリギリ許せるとしても、空飛ぶバスみたいな乗り物はいいとしてそれが飛ぶ時に謎の発光があるのはちょっとなぁ・・・。
両者のバトルに巻き込まれてめちゃくちゃ人が死んでいるのに、直接的な死の描写がほとんどない、と言うのは偽善的。ご丁寧に、コングが投げつけたF35のパイロットは、ゴジラにぶつかる前に脱出するし。
結果的にはエメリッヒ版『ゴジラ』よりはかろうじて上、と言う総評(´д`)

以下、ネタバレ

本作はコングが主役で、ゴジラは悪役と言うか、完全にキングギドラ的な悪役ポジション。コングが地下空洞に行って、自分のルーツを見つけて、なんかマーベル映画的な、王座に座って、伝説の武器でパワーアップとか、完全に『アクアマン』とかのおっさんヒーロー映画の主役。
ちなみに、某動画ではそこへゴジラが放射熱線を岩盤を通して数百メートル貫通させるのを、香港から南極と言っていたが、コングたちは地下でだいぶ移動していたので、たまたま(ご都合主義で)香港の真下にいたんじゃないの?
地下空洞世界といえば、明かりがどこからきているかと言う問題は見逃すとして、『インセプション』とか『インターステラー』みたいに上にも地上があるので、重力が拮抗する中間地点には小岩が小惑星地帯のように浮遊しているのが本作で唯一、SFファン的に面白かったところ。
そもそもそれだけのパワーがあるくせに、コングに当たっても大してダメージがない、と言うバランスもなぁ(´д`)
予告編で使っていた斧が、ゴジラの背鰭を使ったもの、と言うのはなるほど、と思った。まあ、予告編からの逆算解釈だから、そもそもそんな設定にする? と言う疑問もあるのだが・・・。
私的には両者は決着をつけず、共闘するのだと思っていたが、半分当たっていた。とりあえずコングをKOして、ラスボスはメカゴジラであった。
このメカゴジラは機龍のオマージュとして、背中のブースターでダッシュをかけられる。オマージュといえば、『デストロイア』の香港が舞台で、『モスラ』の観覧車壊しだとか、香港は『パシフィック・リム』でもあるとか、色々含まれてはいる。
本作で不満なのは、予想というより、半ば予告されていたと言っていいメカゴジラの出現に驚けなかっただけでなく、それが格好悪いこと。『レディ・プレイヤー1』よりも格好悪い。平成メカゴジラよりもひどく、史上最悪と言っていい。顔もトランスフォーマーの出来損ないみたいで不細工だし、中でも手がデカいのが致命的かな。背鰭だけは良かったけど。
そうそう、電気ショックを心臓が止まる前にやるのは医学的に間違いだけど、そんなのはどうでもいいレベル(´д`)
まあ、いったん決着をつけといて、復活してから、地球のピンチに対して一時休戦、と言うのは『三大怪獣』などを踏まえた、うまい、と言うかまあ妥当な展開である。メカゴジラの首をとるのは『対メカゴジラ』のオマージュだけど。
ギドラの頭の骨の中にメカゴジラのコックピットがある、と言うのは東宝OVA特撮みたいでシュールだったけど(^_^;)

某動画で気が付いたが、せっかく怪獣王になったのに、他の怪獣がほぼ出てこなかったのがめちゃくちゃ残念。監督が変わって怪獣映画オタクではなくなったのが痛いか。次回作があるなら、是非とも前日譚としてオール怪獣リーグ戦を希望したい。
せっかくコングの故郷である地下空洞に行ったんだから、コング軍団VSゴジラで、ゴジラデストロイア幼生や群体レギオンの如く群がるコングたち、と言うビジュアルがみたかったなあ・・・。そもそもコングがしれっとゴジラに伍するくらい巨大化してるしね(´д`)
ゴジラの放射熱線も、微妙に『シン・ゴジラ』のレーザーっぽい。
怪獣ではないが、モンスターとしては地下空洞のモンスターたちは、羽根のある使徒みたいなやつとか、ダンゴムシみたいなやつとか、『髑髏島の巨神』からの続編として楽しめたところ。
そう、本作は『KOM』の続編であるゴジラ映画ではなく、『髑髏島の巨神』の続編であるキングコング映画なのだ。