思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『日本国紀』

☆☆☆★
幻冬舎

日本通史には違いないが、著者が歴史家ではないということもあって、日本史に関するエッセイという印象がぬぐいきれない。
もちろん、西尾幹二や、渡部昇一両氏も専門科ではないながら通史を書いているのだが……。
各章ごとに参考文献を挙げてよ、と言いたくなった。
個人的には、井沢元彦のほうがいいかな……(^^;)もちろん、井沢氏の説についても、1、2回触れられるが。

「蒙古(略)軍はまず対馬を襲い、多くの島民を虐殺した。次に壱岐を襲い、(略)この時、蒙古軍は捕虜とした島の女性たちの掌に穴を空け、そこに縄を通して船べりに吊り下げた。」

「親らさ政策を取った高宗(大韓民国初代皇帝)は、漢城(げんざのソウル)にあるロシア領事館に匿われて政治を行なっていた。どこの国に、自国内にある他国の領事館に住んで政治を行う国家元首がいるだろうか。
 高宗はロシアに言われるがまま自国の鉱山採掘権や森林伐採権を売り渡した。それはかつての清国の属国時代よりもさらにひどい有様で、もはや植民地一歩手前の状態となっていた。この状況が続けば、朝鮮半島全体がロシアの領土になりかねず、そうなれば日本の安全が大いに脅かされる」

「はじめは朝鮮人の行動を黙認していたG H Qも事態を重く見て、昭和20年(略)朝鮮人が「治外法権の地位にないこと」を明らかにする発表を行なった。つまり、それまでは「治外法権」を認められていたことになる。」

通史なのに、メモがこれくらい、ということで、私的には、そこまでして読むべき1冊ではなかった。だが、20感を超えて現在も継続中の『逆説の日本史』シリーズや、江戸時代を中心とした『風雲児たち』も60巻オーバー、渡部昇一氏の10数巻の日本史シリーズすら読んだことのない人、近代史では林氏や中村あきら氏の著作を読んだことのない人向け、日本史そのものの入門者としてはうってつけの一冊と言えるかもしれない。
現代史のパートで繰り返し強調されている通り、米国の占領洗脳政策の影響下にある朝日・N H K及び戦後教育史観しか知らない人が、真実の歴史を知るとっかかりの一つとして、ベストセラー作家が書いた本ほど最適なものもないさも。