思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『犯人選挙』

☆☆☆☆

四階立てのシェアハウスで起こった殺人。
いわゆる犯人当てものなのだが、本作の説明で抜かしてはいけないのが、ウェブ掲載で、解決編の前に、実際に誰が犯人であることが良いか、投票が行われたこと。
推理と正解を問うものではないことがポイントだ。
ただ、そこまでしていながら、解決編は、別個ではなく、7つをまとめて一編にしているのが残念ながらかな……。ある種のゲームブック的な結構になると思うけど。ま、作者のユーモア作家としたの側面が出て、面白いとは思うけども……。
タイトルから、クローズド・サークルでの殺人に対して、ミステリマニアのメンバーたちが推理合戦して、これが真相だと思う推理に投票する、という話かと思ったのだが(^^;)

以下、ネタバレ

その、趣向じたいは新本格作家以降の作品にいくつもあるが、本作のオリジナリティは、それらをマルチエンディングとしてまとめたところにある。
パラレルワールドなので、それぞれの登場人物の背景や、設定そのものも異なっていい、というのがそれだ。これは、マルチエンディングのゲームなんかより一歩進んだ趣向かも。
三人目の死者については、そこまで驚かなかったかな……。楽しい趣向だとは思ったが。