思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『「あ」は「い」より大きい!? 音象徴で学ぶ音声学入門』川原繁人
☆☆☆★
ひつじ書房

『怪獣の名前はなぜ「ガギグゲゴ」なのか?』と同じ学門分野だが、より論文的というか、統計学と科学的な裏付けも含めた、幅広い内容。こういう、一見専門書の入門書っぽい何かの本で『空耳アワー』が出てきて嬉しかったが、本書でも、ポケモンからメイドカフェ、カンタムロボなど、誰もが取っつきやすいネタが随所に出てくるのが嬉しい。
要するに、音から連想するイメージには、発声する際の口腔の差という物理的・科学的な裏付けがある、というのだ。
特に現代のフィクションの名前付けにおいてはだいたい当てはまる。だが、古来の和語にも該当するのか?いちおう古事記などの神様の名前にも少し触れているが…。まあ、本書は入門書なので、これからの(読者または学生の)研究課題の提示、という側面もあり、むしろ私が研究すべきなのかも(@_@;)

奈良時代頃から始まった音の変化によって、一般語に使われるpがhに変わった(略)ですから、現代の日本語には、「ん」「っ」の後のものを除いて「パピプペポ」という音は基本的に出てきませんが(略)擬態語、擬声語には出てきます」

「あ」は「い」より大きい!? 音象徴で学ぶ音声学入門「あ」は「い」より大きい!? 音象徴で学ぶ音声学入門
川原繁人 宮山由佳(ブックデザイン)

ひつじ書房 2017-11-25