思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ゴッド・ガン』バリントン・J・ベイリー著/大森望中村融
☆☆☆★

新訳が続くベイリー。本書は『シティ5からの脱出』に続く(とは言え40年ぶりくらい?)日本オリジナルの短編集だ。
本書は、前半こそ悪く言えばバカSF、良く言えばSFの醍醐味を味わえる。ただし、後になるにつれてファンタジーがあったり、「ゆるい」SFになって行くのは傑作揃いの『シティ5』の落ち穂拾い的な本ゆえ仕方ないところなのか。
印象的なものを。

『ゴッド・ガン』☆☆☆☆
初出(初訳)時は『禅銃』のシリーズ的な扱いだったのか『神銃』表記だったらしい。神を殺せる銃が簡単に作れ、しかも簡単に殺せてしまう。『神狩り』とか『神は沈黙せず』など、本来は長編のテーマを短編にしているので当然なのだが。ワン・アイデアものの典型、というよりも長編のエッセンスとしての代表例。神が死んだらどうなるのか、というオチがこれまた懐かしいSFのテイスト。

『大きい音』☆☆☆☆
スピーカーではなく、生音でできる限り大きな音を出そうとする科学者。彼の目的と準備に5年を費やしたその実験結果は?

『地底潜艦』☆☆☆★
どうやって地面に潜るのかなど、細かいことは言いっこなし。地球の内部に常識とは違う構造があるかもしれない、というバカSF。

ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫 SF ヘ)ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫 SF ヘ)
バリントン・J・ベイリー 大森 望

早川書房 2016-11-22