思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『hammered サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(1)女戦士の帰還』エリザベス・ベア著/月岡小穂
☆☆☆★

カバーイラストではブロンド美女として描かれているが、内容を読むとそれはJARO。スパニッシュ系の五十歳くらいのおばさんである。とは言え、サイボーグなので、『グリーン・ディスティニー』の…誰だっけ?後はブリジット・リンみたいなイメージか?

内容は視点も変われば、内容も4冊分くらいがシャッフルされるように詰め込まれているので、非常にノリにくい。
主人公が老朽化したサイボーグ機関を再手術するかどうかの話、マフィア的組織を率いる主人公の姉を追い詰める話、火星で発見された異星人の宇宙船の正体、そして人工知能の脱出劇の4つだ。
それぞれが、登場人物がクロスオーバーして顔を突っ込むので、それが理解するのが難しいとも言えるし、縦糸と横糸がしっかり絡み合った巧みな構成とも言える。
また、視点人物もコロコロ変わるのもノリにくい要因。いちいち日付と場所を章こどとに記すくらいなら、視点人物名もついで書いておいて欲しい。
4つの中編で1冊という構成にしてくれたら、★半分は評価が上がったのに…。それか、(3部作を読み終えた後に)再読すれば、評価が上がるかもしれない。なにしろ、はっきりと1巻と書いてある3部作の序なのだから。
なお、原題は『hammered』とシンプルなのに、邦題は何がメインタイトルなのかさっぱり分からないことになっているのも問題。ちなみに、hammeredとは、冒頭に出てくる、物語のきっかけとなる、軍隊でも利用されているとされる麻薬の名前。

HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)
エリザベス・ベア 月岡 小穂

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