思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ザ・フューリー 烈火の戦場』
☆☆★

言うまでもなく『フューリー』の便乗タイトル。共通点は、アメリカの戦車乗りが主役ということくらい。その戦車は、模型誌とかでも見たことがなかったので、適当にでっち上げたのか?と思って調べたら、ヘルキャットは、戦闘機みたいな名前だが、実在した自走報砲だった。まあ、いかにもシャーマンのパチもんっぽいダサダサさ
なので、プラモ化あるいは作例が載ったことがないのも頷けるかも(^_^;)
とあるドイツ郊外で、街道外れに陣取る4号戦車を撃破する、という話。
便乗タイトルを付けなければならなかったことでも分かるが、画や、華のないキャストなど、いかにも低予算。そこは銃や砲撃の迫力に直結するので、本家(?)『フューリー』とは曳光弾もなければ、砲弾の反動描写もないに等しい。
戦場の苛酷さ、悲惨さをリアルに描いた同作とは異なり、本作のテーマは、第二次大戦中の黒人差別(´д`)
お察しの通り、最後には人種を越えて、戦友として認め合うのだが…。

『第二次大戦中の黒人差別問題と、ある自走砲部隊での黒人兵士の活躍』なんてタイトルにしたら、誰も観ないだろうしなぁ…。

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アメイジングD.C. 2014-12-03

『サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(3)』
☆☆☆★

確かに異星人の宇宙船や、そことのファースト・コンタクトは描かれる。まあ、全く予想もしないものではないにせよ、異星人のコミュニケーション手段は面白いが、せっかく盛り上がって来たと思ったら、舞台は国連の査問委員会と、またリアルというよりどうでもいいところに戻ってしまう。
この、三歩進んで二歩下がるようなところが本作が掻く下そうようなところなのだ。場面もコロコロ変わるし、異星人とのコミュニケーションにジェニーは参加しない。電脳知性リチャードとは常にコミュニケーションしているが。
というより、そもそもこのシリーズはジェニーの冒険を描くものじゃあない。原題にはジェニーの名前が欠片もないことでも分かるように、未来世界でのファースト・コンタクトをカナダと中国の対立の中で描いた群像劇なのだ。売らんかなの邦題に騙されてはいけない。
ただし、そのへんを差し引いても、地味さとセンス・オブ・ワンダーがケンカした、どちらにもノリが悪い分裂症気味の作品。『Vガンダム』の富野監督風に言えば、失敗作だが、駄作ではない、という感じか。